虫は苦手なのですが、書店で何気なくページを繰ってのけぞりました。
案の定キモチワルイ?
いや、その美しいディテールに眼を奪われてしまったが故にです。
この写真集には各国数種の象虫(実寸数ミリ〜数センチ)が、
1ページに一匹、全身大写し(約25cm程)で掲載されています。
昆虫の身体の一部にのみピントの合った普通のマクロ写真とは違い、
触角の先から後脚先まで、全てにピントが合っているのが当書の特徴です。
マクロ撮影で各部にピントを合わせ、それらを合成しているのだそうですが、
そうして細部まで可視化された象虫達の異形の姿は驚きに満ちており、
自然の造形の不思議さを堪能することができます。
当書に「生きた工芸品」とありますが、自然の創ったフォルムはまさに名品・逸品揃い。
それぞれに光悦や長次郎等、名だたる陶工の手による銘がありそうで、実に渋く、味わい深くもあり、
或いはまた、格好の良いクリーチャーやモンスター、多脚戦車として見立てても楽しいし、
「象虫一億年の進化の歴史」に思いを巡らせることもできます。
この鑑賞の幅が面白い。
当書の大部分はカラー写真(基本、1ページ1匹/背景白地―表紙参照)で占められ、
各ページの下部に、実寸写真・生息地域識別印・和名・学名が記されています。
末尾の白黒ページに象虫の解説(生態)と、
作品データ(標本データ・撮影データ・ひとくちコメント)がまとめられています。
ところで、「数多の昆虫の中からなぜゾウムシを選んだの?」
という疑問には、著者が前書きにて答えてくれます。
いずれまた種の違う昆虫達で別世界を見せて頂きたいと願います。