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象と耳鳴り
 
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象と耳鳴り [単行本]

恩田 陸
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです」退職判事関根多佳雄が博物館の帰りに立ち寄った喫茶店。カウンターで見知らぬ上品な老婦人が語り始めたのは、少女時代に英国で遭遇した、象による奇怪な殺人事件だった。だが婦人が去ったのち、多佳雄はその昔話の嘘を看破した。蝶ネクタイの店主が呟く彼女の真実。そしてこのささやかな挿話には、さらに意外な結末が待ち受けていた…。(表題作)ねじれた記憶、謎の中の謎、目眩く仕掛け、そして意表を衝く論理!ミステリ界注目の才能が紡ぎだした傑作本格推理コレクション。

内容(「MARC」データベースより)

「象を見ると耳鳴りがするんです」 退職判事・関根が喫茶店で出会った老婦人が語り始めたのは、奇怪な殺人事件だった-。ねじれた記憶、謎の中の謎、驚愕の仕掛け…そして純なるロジック。12編の連作本格推理コレクション。

登録情報

  • 単行本: 290ページ
  • 出版社: 祥伝社 (1999/10)
  • ISBN-10: 4396631588
  • ISBN-13: 978-4396631581
  • 発売日: 1999/10
  • 商品の寸法: 18.8 x 13.4 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 恩田版安楽椅子探偵物の白眉。, 2002/12/8
By 
hinish - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)   
レビュー対象商品: 象と耳鳴り (単行本)
 昔、本格推理小説と呼ばれたジャンルの小説には、今みるとかなり強引な論理展開があったり、状況証拠のみではないかと文句をいいたくなるような物も多い。しかし、リアリズムがもてはやされる中、こういった作品のパズル小説としての楽しみや、探偵とその相棒の洒落た会話の楽しさが軽視されているのでは。

 この作品集にはサイコパスやシリアル・キラーは出現せず、人物の造型はいつもの恩田陸らしい人間への暖かい信頼感に満ちている。その恩田ワールドでアームチェア・ディテクティブ物を楽しめるなんて何と幸福な時間!
 ハヤカワ・ポケミスとか好きなら間違いなく気に入る装丁もマッチしてます。

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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 「六番目の小夜子」も是非読んで!, 2002/10/23
レビュー対象商品: 象と耳鳴り (単行本)
元判事の関根多佳雄が主人公の謎解きミステリ短編集。
「六番目の小夜子」に登場した関根秋くんのお父さんが主人公。
関根一家総出で登場します。

わりと冒険的なものを読んだせいか、どうもこの小説=恩田陸とはなりません。
身近な感じがするからでしょうか。
淡々としていて、飛躍がないのでつまらないかなと感じますが、謎解き自体は奥が深いです。

答えが100%出ない曖昧さがよいのかもしれません。

好みは「給水塔」「待合室の冒険」「机上の論理」「魔術師」。
表題作「象と耳鳴り」は読み返しましたが奥が深すぎます。

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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ノスタルジック, 2009/3/3
By 
まさみ - レビューをすべて見る
(トップ1000レビュアー)   
レビュー対象商品: 象と耳鳴り (単行本)
古今東西数多ある推理小説の中で根強い人気を誇る「日常の謎」カテゴリ。
国産もので有名なのといえば北村薫「円紫さんと私シリーズ」(大好きです)加納朋子「駒子シリーズ」倉知淳「猫丸先輩シリーズ」などが挙げられるんですが、本書も日常の謎解きをメインに扱った恩田陸の佳作。
殺人事件や人死にが含まれる話も少なくないんですが、その殺人事件も過去の出来事で思い出語りができるほど風化されていたり、生々しさはそれほどありません。けれど面白い、すごく面白い。「謎」の最も純粋な部分だけ抽出し結晶化したような短編が多く、掌編といっても差し支えない長さのものも含まれてるのですが、どれひとつとってもはずれがないのは凄い。
主人公は退役判事・関根多佳雄。
成人した三人の子供をもつ愛妻家、物腰柔らかな老紳士で散歩が趣味。
そんな彼が遭遇した日常の謎を、退役してもなお衰えを知らぬ鋭敏な洞察力と推理力で解き明かしていくんですが、多佳雄さんのとぼけた人柄が浮世離れした雰囲気に相まって非常にいい持ち味を出してます。
どれも好きなのですが個人的ベストを選ぶなら「廃園」。
薔薇が咲き乱れる庭でかつて不審な死を遂げた美しい従姉・結花。
従姉の死から時が経ち、成長した娘は母が死んだ庭を家ごと売り払う決意をした。
母が愛した薔薇は枯れ果て、美しかった庭は朽ち果てた。
変わり果てた家を訪れた多佳雄は奔放な従姉の思い出とともに過去を回想し、彼女の死の真相を探り当てるー……
「廃園」のタイトルが示す通り、多佳雄が来訪した現在の庭は跡形なく荒れ果てているんだけど、彼が追憶する庭の情景が非常に美しく華やかに描写されるせいで、読者の脳裏には現実には既に存在し得ない幻の庭が鮮やかに像を結ぶ。この仕掛けが憎い。
恩田陸は「もうここにありはしないもの」を巧みな語り口によっていまだあるように錯覚させる描写の名手なんですが、「廃園」ではその手腕が遺憾なく発揮されてます。
残滓にすぎないもの、残像にすぎないもの、残影にすぎないもの。しかし登場人物たちの中では確かに生きて、ともすると灰色の現在より鮮烈なイメージを持ち得る事柄。
色とりどりに咲き乱れる薔薇、濃密な芳香、麗かな天国の情景、如雨露を持って振り返る美しいいとこと愛くるしい娘……土が剥き出しの灰色の庭を前に、多佳雄が回想する情景は非常に美しく、それが現実には存在し得ず、当時を知る人間の記憶の中でのみひっそり生き続けるからこそ哀切な余韻を増し、感傷をかきたてる。
 
ほかに人間の命の尊厳を問う「ニューメキシコの月」、関根家の娘と息子といとこが一枚の写真をもとに推理合戦をくりひろげる「机上の空論」、現役検事の息子・春とドライブに出かけた先での出来事「海にいるのは人魚ではない」も好きです。表題作の時が止まったような喫茶店の雰囲気、ほろ苦く懐古的な余韻もいいなあ……。
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