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わりと冒険的なものを読んだせいか、どうもこの小説=恩田陸とはなりません。
身近な感じがするからでしょうか。
淡々としていて、飛躍がないのでつまらないかなと感じますが、謎解き自体は奥が深いです。
答えが100%出ない曖昧さがよいのかもしれません。
好みは「給水塔」「待合室の冒険」「机上の論理」「魔術師」。
表題作「象と耳鳴り」は読み返しましたが奥が深すぎます。
文章はあっさりしていて癖がない。
推理小説の短編集だから、通常は人物描写も情景描写も薄くなりがちで、この作品でもそれは否めない。
また恩田作品ではありがちなことに、謎が綺麗に着地をしない。いったん納得のいく解決方法が示されたかと思いきや、作者自身が惜しげもなく、それを台無しにしてしまうのである。
なのに少しも物足りない感じがしない。
終わる間際で、作品がふうっと遠くにいってしまう、掴みかけていたボールがもっと遠くにいってしまう、そんな往生際の悪さが何とァ?言えない作品の、そして作中の謎の魅力になってしまっている。
なんとも座り心地の悪い魅力だけど、箱庭の空のスクリーンがめくれあがって向こうの世界が見えるかのような、そういう気持ち悪さが好きな方には是非お勧めしたい。大好きな作品集だ。
内容ですが六番目の小夜子に登場した関根秋の父、兄・姉が出てきます。
恩田さんと言えばミステリーでも有名ですがこの象と耳鳴りの中でもその実力を発揮しているのが「給水塔」ではないでしょうか。
他に「待合室の冒険」では関根春の魅力が充分に出ています。
「机上の論理」では関根一家の魅力が溢れる内容です。
恩田さんの本には登場人物の聰明さが魅力ですがこの象と耳鳴りではその部分でも納得できる本でした。
ただ本の題にもなっている『象と耳鳴り』は不思議すぎたり、短編の中にも魅力的なものと「むむむ」というものがあるのですけどね・・・。
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