この映画では全く違う舞台の二つの物語が同時進行します。一つはピエール・クレメンティ演じる青年が、荒涼とした砂漠を飢えてさまよいながら、だんだん捕食がエスカレートしていって人肉食をする話。もう一つはジャンピエール・レオが演じる、現代ドイツの実業家の御曹司が実は豚とセックスしているという話です。二つの話は全く別なものとして進みますが、主人公二人ともがある点において共通した悲惨な最期を遂げます。
この映画はパゾリーニにしてはわかりやすいほうと言われてますが、やはり他のパゾリーニ映画と同様、寓意をどうつなげて読むかについてはいろいろ考えさせられ、まるで神話のように何通りにも解釈できる映画だと思います。
個人的評価として★を5個つけていますが、誰にでも強引にすすめられるつもりはないです。『豚小屋』だけに限らないことですが、パゾリーニの映画でモチーフとして出てくる「変態性」や「異常性」は、何か根源的な問題を開示する手段として真面目にかつ哲学的に使われているように一応見えるのだけれども、一方で、それによって逆にそういう変態性や異常性が美化されているのではないか(そして実はそっちのほうが主眼なのではないか??)と疑わしいところがあって、人によってはそれが気分悪いと思うからです。
なお、視覚的な意味に限れば、ホラー映画ファンやエログロ映画ファンが満足するほどの猟奇シーンはありません。(同監督の作品で、扱っている内容だけでなく視覚的にもえぐいものがみたい場合は『ソドムの市』がよいでしょう。)