1976年1月新兵訓練センターで発生した新型インフルエンザ騒動に関する専門家,政治家、医薬品業界の顛末報告書に関するもの。
政治家に野心のある専門家が絡めばどの国でも混乱と無駄が生じるのは民主主義制度の代償であろう。
ギランバレー症候群状の副作用に田舎の開業医が気が付いた経緯が興味深い。観察力不足で副作用に気が付かない臨床医が実に多ことの裏返しでもある(p163-)。
FactFinding目的の調査報告をベースにしているせいか、冗漫である。政治の駆け引きよりはインフルエンザワクチンの副作用発見の経緯と病気の専門的見解に興味のある人は第9章「開始、そして中止」と第13章「専門的あとがき」を読めばよい。
原著の出版は1983年、その後のウイルス研究の進展などを訳語解説の項にわかり易くまとめて貰いたかった。
この分野も地震予知と同様に未だに混沌とした状態が実情で、纏めようが無いのかも知れない。
同じ訳者の「史上最悪のインフルエンザ」ほどの迫力は無いが、ワクチンの頼りなさの実体は判る。
受精卵で培養製造されるワクチンに残存する卵たんぱく質などのアレルギー誘発その他の副作用についても気になる。