2011年8月1日リリース。著者豊島逸夫氏は元スイス銀行貴金属為替ディーラー。氏には申し訳ないがぼくがこの本を購入した決め手は、ジム・ロジャースとの対談が掲載されているからだ。世界中をオートバイにまたがり自分の眼でファンダメンタル分析した最初の人類ジム・ロジャースの今の相場観が知りたかったのである。
全部を書くとネタバレになってしまうので金についてジム・ロジャースとがどう今思っているかだけ触れておきたい(当然それ以外のものについても雄弁に語っていてそれだけでもこの本を手にした価値はあった)。ジム・ロジャースとはかつての同僚、ジョージ・ソロスが金を売ろうとも、売らない。あと数十年以内に1オンス2,000ドルを突破するだろう、と言っている。
以下、ジム・ロジャースとの本書での発言やそれ以外の本書の内容含め、本書の内容と現状分析をぼくなりにしてみたい。現在のトレンドを見てみると、米ドルが『予定通り』に安くなっている。去年・一昨年に比べるとトレンドは極めて明確で意図的なのが分かる。バーナンキの本音通り、ドルは着々と安くなっているのだ。去年の同時期はだいたい84円台だったから、ほぼ7円下げているわけだ。この調子で行くと、来年には60円台となり、再来年には60円丁度に到達するとぼくは思っている。そういったドル安しか、アメリカには自国を救うすべがないのだ。
そしてバーナンキのこの前の発言で、2013年までは低金利を続行するわけだから、ほぼ『口には出さない設計図』通りに事が運んでいるのが分かる。これはほぼ金がそこまでに2,000ドルを突破することとイコールだとぼくは思っている。それが実現しないケースはただひとつ、アメリカ自身が金を売ることだ。果たしてアメリカは金を売るだろうか。
金融の世界に詳しい方ならご存知のように過去、アメリカは金を売ることを余儀なくされたことがある。アメリカがドルと金の交換停止に追い込まれる1971年8月15日のニクソン・ショックまで、膨れ上がったドルの流通量に対して交換する金が足らなくなり、金の保有量をほぼ半減させたのだ。しかし未だアメリカは世界一の金保有国だ。
1位 アメリカ 金の公的保有量8,133.5トン
2位 ドイツ 3,401トン
3位 IMF 2,814トン
4位 イタリア 2,451トン
5位 フランス2,435トン
6位 中国 1,054.1トン
7位 スイス 1,040.1トン
8位 ロシア 824.8トン→最近滅茶苦茶買っていて、日本を抜いた
9位 日本 765.2トン
しかしながらアメリカが金を売って市場に流通させるということは金価格が下がり、他のものに資金が流れることになる。つまり望まないドル買いとなる可能性もある。ドル高になれば苦しむのはアメリカ自身なのをバーナンキもオバマもよく知っている。この金を売る最終権限が誰にあるのかぼくは知らないのだが、どちらにしてもドル高になる可能性のある行為は決してしない、というのがぼくの推理だ。
よってあと2年間は今とまったく同じスタンスで行くと思える。アメリカの外貨準備高の75.3%を占める金を売却などすれば、信用不安は益々加速し、格付は益々下げられるだろう。それはアメリカが最も望まない選択肢のはずだ。
結論。金は2013年までに2,000ドルを突破する。
さて、『先物市場のテクニカル分析』をバイブルとして、テクニカル分析を信じている方々は、現状をどう分析しているのだろう。さぞや素晴らしい数学的な分析を構築しているに違いない。是非ともコメントを頂き、あわせてノーベル経済学賞受賞者2名を擁しながら、何故LTCMが破綻したかをご説明願いたいものである。