どうもごくふつうの主婦とおぼしき著者が、ロシア家庭料理に魅せられて旅を重ねロシア語も覚えいろいろ研究しぬいたエッセンスを、惜しみなく教えてくれます。気前のいい好著だと思います。写真はどれもちょっとピンぼけ、でも伝わってくるぬくもりは本物。ダーチャと呼ばれる郊外の木造小屋や、ルィノクと呼ばれる市場や、カプチョーナヤルィーバと呼ばれる魚の燻製や、いかにも公団住宅風の市民アパートや、なぜか1月7日に祝われるクリスマスといった、料理そのものを超えたロシア事情的情報も充実。味のポイントがサワークリーム(スメターナ)だったりカテージチーズ(トゥヴァローク)だったりすることもわかってきます。肝心のレシピーは、非常にわかりやすい。ぼくは早速「クヴァーシェヌィエ・カプースティ」を作ってみました。おいしくできましたよ。発酵キャベツのことです。思えばレシピーって、すごいもんだなあ。紹介されているのはひとつひとつ、現実的に作れるものばかり。こうして本を介して文化をそっくり学べるんだから、人間て、けっこう楽しいですね。著者の荻野先生、ごくろうさまでした。