<歴史には力がある。今を生きるための叡智がある。
今を見る、未来を思う歴史全集。>
こんな意気込みで編集された全集『日本の歴史』。
「列島創世記」から始まり、いよいよ1955年以降から現代までの最終巻である。
ふるさとを離れ都会での生活の中で、仕事に邁進する家族の姿には、
我が家族と自らの軌跡が重なる。
日本の歴史の結びに取り上げられているのが、地方の小さな自治体であるのが興味深い。
福島県矢祭町、北海道ニセコ町、長野県栄村など「小さくても輝く自治体フォ−ラム」の取り組みが
本巻の最終、日本の歴史の到達点として取り上げられているのである。
それは同時に、これからの未来を切り開く手がかりの一つとして、
著者が期待の眼差しを注いでいるようでもある。
そしてこんなメツセ−ジを投げかけ、歴史全集の最終巻を締めくくっている。
「本巻の問題設定は、私たちは歴史の主体として戦後社会を
どのようにつくりあげてきたのかということであった。
戦後日本の民衆的経験は、ある時は行政や企業に真っ向から対抗し、
しだいに現実的な提案能力を高め、拒否と批判による政治への影響力だけでなく、
提案と創造による社会の改良・変革の能力をも蓄積してきた。
現在の歴史の転換期において、日本をどういう方向に向けていくかは、
私たちが蓄積してきた市民的経験、能力をどう生かすかにかかっているだろう。」
ここでいう「蓄積されてきた市民的経験・能力」とは、
この巻でとりあげられている戦後1950年代以降の期間だけをいうのだろうか。
むしろ、「列島創世記」にまで遡って連綿と連なる先人たちのすべての歴史を通して蓄積され、
注ぎ込まれてきたもの、つまり、単にこの一巻だけでなく、16巻すべての歴史の重さを感じつつ、
このメッセ−ジを受け止めるべきであろう。
それが、歴史の力を、未来への力にしていくことにつながるのではないだろうか。