イギリスの出版社に才能を認められて作家デビューしたファンタジー界期待の新星ブレットの処女作で、著者生誕の地アメリカに先駆けて先行出版されたファン待望の第二巻です。物語の中心で活躍する三人の少年少女はそれぞれに試練を経て逞しく成長して行きます。まず前巻では出番が少なかったロジャーは、僅か三歳の時に魔物に生家を襲撃されて両親と死に別れ、偶然旅芸人の美声アリックに命を助けられてそのまま弟子になり興行の旅をしながら暮らしています。七年後十歳になったロジャーは、歳を取り酒で身を持ち崩したアリック師匠を頼りにせず勇気を出して独りで舞台に立ちます。まだ少し心配ですが弱音を吐かず負けないで根性で乗り切って行く姿は立派です。次に薬草師見習の少女リーシャは師匠ブルーナおばばから修行の為に要塞都市アンギアスの病院へ行くよう命じられます。長くお世話になった老齢の師匠との今生の別れを悲しむ場面にはもらい泣きしてしまいます。そして最後に一番の勇者アーレンは母を魔物熱で失い億病な父に愛想をつかして故郷の村から家出し、やがて辿り着いたミルン要塞都市の護符職人コブ親方の下で修行して平和な日々を送ります。アーレンは図書館長の娘メリーと出逢い恋心を抱くのですが、魔物への恨みの念が募りある日突然旅立ちを決意します。決して利巧でなく愚かな部分もありますが母の不幸な死を忘れられずに自分が幸福に暮らす事を潔しとせず魔物と戦って滅ぼす大望を抱く複雑な性格のアーレンがやはり一番魅力的だと思います。本巻での見所は宿敵片腕岩魔との壮絶な一騎打ちのシーンと好戦的部族クラシア戦士と共に魔物と戦う戦闘シーンでしょう。しかし順風満帆とは行かず本書の最後でアーレンとロジャーは思わぬ危機を迎えます。手に汗を握りこの先一体どうなるのだろうという緊張と期待の予感を孕みながら、いよいよ最高に盛り上がる最終巻を楽しみに待ちたいと思います。