出版社/著者からの内容紹介
内容(「BOOK」データベースより)
著者について
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
1971(昭和46)年岐阜県生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程退学。デンソーに入社後、2001年独立。フリーエンジニアとして、ソフトウェア開発や技術系図書の執筆に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
抜粋
インターネットの発達によって、一般の人が意見を表明したり、議論に加わったりする機会が増えました。しかし残念なことに、子供の口げんか並みの低レベルな争いが多いように見受けられます。
書店に行けば、説得力のある話し方とか、うまい文章の書き方というような本がたくさん並んでいます。こうした本はどれも素晴らしい内容ですが、現状を見ると、話の上手下手以前の問題があるように思えます。
議論を上手に進める方法を考える上では、どうしても「うまく話す」能力に注目が集まりがちです。しかし、インターネットの掲示板での誹謗中傷や非難の応酬などを見ていると、足りないのはむしろ「人の話を聞く」能力であるようです。相手の言っていることを理解できないまま、自分が言いたいことだけを言うから、議論が不毛な言い合いになってしまうのです。
本書では、「議論とは人の話を聞くことである」ということを大前提に掲げて、なぜ議論がすれ違ってしまうのかを考えていきたいと思います。議論のすれ違いの背景には、各人が考える「説明」や「正しさ」の概念の食い違いがあります。ある人にとって「きちんとした説明」だと思えることを、別の人は「単なる言いがかり」だと受け取るかもしれないということです。まるで、サッカー選手とラグビー選手が、お互いに自分たちのルールが正しいと主張して対戦しているようなものです。こうなってしまっていては、議論がかみ合うはずもありません。
本書では、議論の基礎となる「ルール」、つまり議論とはどのような考えに基づいて行われるものかという問題について見ていきます。サッカーで言えば「手は使わない」とか「ゴールにボールを入れれば得点になる」といったルールに当たります。ルールを知ったところでサッカーが上手くなるわけではありませんが、ルールを知らずに技術ばかり磨いても、うまく使いこなすことができません。
本書で述べる内容は、議論をうまく進めるための方法ではありません。それは自分で考えるか、あるいは他の本を参考にしてください。ここで述べるのは、議論の「ルール」です。つまり、議論とは何を目的にしたものであり、どういう発言が「良い発言」と呼ばれるのかについてです。もちろん、議論において何が「良い」のかは、最終的には各自の判断に任されることです。本書が、良い議論、実のある議論について考えるきっかけとなれば幸いです。
なお、本文中で挙げた例はすべて架空のもので、実在の人物や団体とは一切関係がなく、特定の人物に対する批判の意図もないということを予めお断りしておきます。