本巻でフランスの政治はミラボーを中心に展開する。前巻での2大論点、即ち宣戦講和の権限の帰属と教会改革のうち、前者は議会と王の間で妥協が成立し解決するが、後者は議会が教会の巻き消しに屈せず、強硬な姿勢を崩さない。何れも、革命の成果、つまり貴族や聖職者の特権を廃止した平等な市民社会を根づかせねばならず、同時に憲法制定国民議会議員が新たな特権身分となることを避けねばならないという信念に基づき、先を読む鋭い洞察力を発揮して、裏工作により、あるいは議会での演説一つで敵に止めを刺し、問題解決を図る。進行する病気を抱えながら、ミラボーの政治センスは冴えわたる一方だ。
宣戦講和の権限貴族の問題の決着をつけるためには政敵ラ・ファイエットと組んで多数派を形成し、そのラ・ファイエットが軍事権を掌握して勢力を強めると、ナンシー事件を巧みに利用して議会での演説で失政を厳しく追及する。外国からの賄賂も受け取る面もあるが、ミラボーは清濁あわせのむスケールの大きな政治家だ。賄賂のことを除けば、今の日本に欲しい政治家だ。
教会改革を巡ってのローマ教皇のとの対立等、フランス革命史を彩る国際問題の影がさしこみ始めるのも本巻の特徴。そしてマリー・アントワネットがミラボーと言葉を交わし、サン・ジュストがロベスピエールに手紙を送る。フランス革命史のこれからの中心人物も動き始める。さらに当時のメディア、つまり新聞の力が大きかったことを知る。
革命の動きからますます目が離せない。