著者は日本東洋医学会副会長を務めていらっしゃる秋葉哲生氏とその師匠格の中村常太郎氏で、お二人とも日本漢方のエキスパートです。
そのご両人がともに千葉県の医療保険の審査員をされていたことから本書は生まれたようですが、医療保険請求の流れ・セレプト審査の大まかな仕組みから入って、医療機関でなされた漢方処方に対する審査の生々しい(?)舞台裏が披露されています。
要は処方医がどの程度漢方治療を深く意識して行っているかがポイントになるらしく、それとは対極的にどう見ても出鱈目としか解釈の仕様がない処方が審査の結果切られるようで、無茶苦茶な処方例がいくつも掲載されていることもあり、極めて具体的で分かりやすい内容になっていると思います。
7種類もの漢方薬がフルドースで同時にまとめて数か月分処方されている例を見ると何だか漫画の世界のようですし、麻黄が一日当たり11gも含まれている処方に対して中村氏が「これ、真面目に飲んでいたらおかしくなりますよ。飲んでいないから助かっているようなもんで。」などと発言されているのを読んでは、他人事ということもあるのでしょうが、失笑を禁じえませんでした。
というわけで、漢方処方に慣れていない人にとっては非常に有難い一冊であるのはもちろんなのですが、それとともに個人的には医療保険の審査という仕組みの有難さも改めて教えてもらえため、★5つとしました。