本書は、平成十九年に産経新聞出版からハードカバー単行本として刊行されたものを、新たに普及版として刊行したものである。
警視庁の刑事である小山金七氏は、宮城県に生まれた。高校卒業のち昭和三十七年警視庁の巡査になった。以来、警察人生は三十六年以上。その四分の三を警視庁捜査一課の刑事として生きた。ロス事件、トリカブト事件、警察庁長官狙撃事件、八王子スーパー強盗殺人事件など世間を騒がせた多くの難事件に取り組んだ。在職中に病に倒れ平成十二年に死去されている。
産経新聞記者であった著者は、この「落としの金七」の取り調べをノンフィクションとして書き上げた。テレビでドラマ化もされている。本書では小山金七氏が取り組んだ代表的な事件が紹介されている。その刑事人生を支えた妻シゲ子氏ら家族も登場する。
ところで、江戸の町のシャーロックホームズと言えば、フィクションであるが岡本綺堂氏の「半七捕物帳」半七が有名である。時代考証が厳密で江戸情緒に満ちた作品と評価が高い。本書の著者は、事件記者として小山金七氏を取材し、平塚八兵衛氏とともに「罪を憎んで人を憎まず」の名刑事の生き方を伝えている。