スラヴ研究センターの方の書評と応答は北海道大学リポジトリのHUSCAPの方で
PDFでアップされていて、三巻は話題も多いのですが、そこからでは内容が分からないので、
まず中身について。三巻は次の通り。
序章
帝国と心象地理、そして跨境史(著:松里公孝)
第一部 帝国論
第一章 境界地域から世界帝国へ ――ブリテン、ロシア、清(著:松里公孝)
第二章 ベッサラビアからみるロシア帝国研究と跨境論(著:志田恭子)
第三章 帝国と詩人―「ソ連他民族文化」とダゲスタンのアヴァル語作家ラスル・ガムザトフ(著:中村唯史)
第二部 空間表象(心象地理)
第四章 ロシアの空間イメージによせて(著:望月哲男)
第五章 現代ロシアの歴史改変小説における帝国イメージについて(著:越野剛)
第六章 内なる境界――ロシアユダヤ人の地理空間(著:高尾千律子)
第三部 跨境史
第七章 ベラルーシ国民史におけるユニエイト教会の逆説(著:服部倫卓)
第八章 ハルビンのロシア人社会(著:中嶋毅)
第九章 華商記凰台――ロシア帝国における「跨境者」の一例(著:麻田雅文)
全体的にはアンソロジー論文という印象が強いです。
スラブとユーラシア地域についてちょこちょこ知っときたいというビジネスマンには向かないかも。それらを舞台にしたいTRPGデザイナーとかゲーマーには大いに参考になるでしょう。跨境という設定は、TRPGの世界設定に必要不可欠なものであり、理論としてではないにしても、デザインにおいて経験的に重視されてきたことはトーグなどみても分かると思います。それはモノの自由性と統一性の支柱です。すなわちマクロ(多空間、世界的)、ミクロ(地理・国家的、キャンペーン的)、モノ(キャラクター、表現されるところの)の相互的関係を結ぶ上での支柱。
一般向けという観点から外れて大学生向けという視点から見ると、個々の論文は普通の一般人でも分かりやすいですし、特に前提とする知識も多くないので(題材の事件には説明もされる)、参考になるのではないでしょうか。試験に役立つものではないでしょうが。