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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「風の歌を聴け」の謎ときは秀逸,
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レビュー対象商品: 謎とき村上春樹 (光文社新書) (新書)
「風の歌を聴け」の謎ときは秀逸だと思ったが、その肝腎の部分は著者によるものではない。その他の作品の謎ときも、なるほどとは思ったが、「風の歌・・・」ほどではなかった。 しかしまあ、これらの作品をもう一度読み直すよい機会を与えていただいた。
25 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
買いですが・・・。,
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レビュー対象商品: 謎とき村上春樹 (光文社新書) (新書)
勤務する大学で石原千秋氏が村上春樹を講義しているのをなにかで目にしていたので、いつかこういう本がものされるとは思っていましたが、新書だとは思いませんでした。現時点での中間報告といったところでしょうか。しかし正直、氏の著作が出されるたびに手にし、そこから多くの示唆や刺激を受けつつも、最近少しずつ違和感を覚え始めていました。それはたとえば、本書の題名の由来になっている江川卓氏の「謎とき 罪と罰」が「読み」の提示はもちろんありつつも、キリスト教その他にまつわる知識の教示も多く含まれていたのに対し、本書はテキストの性質によるところも大きいですが、ほぼその「読み」に終始していることに関係しています。自分が村上春樹の良い読者かどうかは自信がありませんが、その作品を楽しんできた自負はあります。そして、僕のような読むだけの読者がつい見逃しがちな細部や、それに結果する作品の構造を、本書はたいへんわかりやすい形で提示してくれます。しかし、その構造性ゆえに読者は村上春樹の作品を手にするのではないということです。しかし、こう書いてしまうと、「そんなこと思う奴は、『イエローページ』でも読んどけ」といったお叱りを受けるかもしれません。ただ、本書で氏も述べているように「完全に読み解かれたとき、それはその作品の死を意味する」のだから、本書の試みは作品を細らせることにのみ寄与しているように思えて仕方がないのです。しかし、テクスト論というのがそもそもそういう読み方なので、そういった意見はなしなんでしょうね。
44 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
一流の解釈。,
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レビュー対象商品: 謎とき村上春樹 (光文社新書) (新書)
対象となっているのは、『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』『世界の終わりと〜』『ノルウェイの森』の五つ。それ以外の村上春樹のテクストへの 言及はほぼありません。 本書の基本的なスタンスは、村上の小説を 1.一番書きたいことを隠されたテクストとして 2.ホモソーシャル(石原によれば、女性のやりとりによって男同士の絆を深めていく)な 枠組みをもつテクストとして 読んでいく、というものです。『風の歌を聴け』を例にとると、 これまでは斎藤美奈子(『妊娠小説』)や平野芳信により「鼠」と「小指のない女の子」の隠された 恋人関係が指摘されていました。石原はさらに、このテクストは実は「鼠」「僕」「小指の ない女の子」の三人による物語であり、「僕」が女の子を「鼠」から勝ち取るという構造である、 とします。そのことを示すために、「僕」と「自殺した恋人」、「僕」と「小指のない女の子」 という二つの関係を、妊娠という点でつながる平衡した関係であると読み(「[自殺した]女の子 は、「僕」の子供を身ごもったまま自殺したのだ」p.42)、後者の関係を前者の再来として 捉えようとします。こういったテクストに「隠されていた」意味をつむぐ過程は非常に明快で 説得力があり、読んでいて戦慄が走るほどです。 個人的には『世界の終わり〜』解釈についてはいささか首肯しがたいものを感じるのですが (脳内世界の「世界の終わり」の外部を宇宙とむすびつける読み)、それ以外の4つ、特に 前述の『風の歌を聴け』と、『ノルウェイの森』解釈は本当に面白く感じました。 「ワタナベトオルの仕事とは直子を自殺させることだった・・・「誤配」された直子を、 ワタナベトオルが「正しい宛先」に届けるまでが「物語の時間」なのである。「恋人たち」は 「誤配」された時間を、悲しくそして切なく生きる。それが「恋」でなくてなんだろうか」 (p.280、「第五章『ノルウェイの森』」)。 この小説をこれほど悲しくも適切に評した人がいたでしょうか。これに加えてこの小説を、 直子が成熟し、主体的に「自分で自分の死を選ぶ」(p.322)物語として読み解いていきます。 本著はわれわれの読みの幅を広げてくれる、すばらしい「村上春樹論」だと思います。同じ 漱石研究者でも誰かとは大違いでしょう。
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