内容をひとことで言えば、新自由主義派経済理論などの反ケインズ理論の誤りを語っている。
政府貨幣発行によってケインズ理論にもとづく政府公共支出を増大させれば、デフレギャップが著しい日本の状況ではインフレを起こすことなく経済成長が可能と説く。この考え方によれば、日本の不況も財政赤字も容易に解決される。
それが実行されないのは、官僚・政治家・マスコミなどに誤った反ケインズ理論が流布されているからだとのこと。
たしかに著書が第一部で言うように、戦前の日本が真珠湾攻撃という戦略的に誤った決断をしたのは大局を読み違えた情勢判断があったからで、
真珠湾攻撃ではなく資源獲得のためにインドネシアを占領すべきであったというのは、まったく正しいと思う。
ここで著書が言いたいのは、現在も日本は欺瞞に満ちた理論や情報に躍らされて、重要な判断を誤っているということだ。
「謀略の思想」というタイトルから、陰謀理論の類に思われてしまうかもしれないが、内容はいたってまっとうな経済理論の話である。
ただ、正統的なケインズ理論がマスメディアなどによって否定されて政治家がそのような風潮に流されていることに、戦前と同じ意図的な謀略のニオイを嗅ぎ取っているのだ。まったく根拠のないトンデモ本ではない。
大学の金融論では、「通貨発行によって政府は造幣益を得る」と教えられるのに、実際には日本政府が通貨を発行することはタブー扱いされている。おかしなことである。日銀だけが通貨発行の主体ではない。
現行の法規の下でも政府貨幣発行可能ということだから、それを実行し、財源にして財政支出を増やせば日本の不況はインフレなしに克服されるだろう。
お勧めの経済モノである。