これは面白い。著者の作品を読むのは初めてですが、無常感と無常観の区別、変化の類型化、政治と宗教の分離、諦めると明らめるの違い、餓鬼の由来、これらの深遠なテーマがわかりやすく、様々な古典を題材として「論理的」に説明されていきます。そして強調される日本人の仏教誤解。仏教は、「感」ではなく「観」なのです。特に感心したのが、可逆的変化、不可逆的変化、偶発的変化、そして循環的変化の類型化です。この類型化により、問題は論理的に整理されていきます。
そこで明らかにされるのは、「善悪は人間は判断できない」、未来に対する権利放棄、現代に対する判断放棄の必然性とその困難さです。これは、決して心構えの問題としてではなく、論理的な解決法として、この必然性が呼び起されます。でも外来の「論理」では人間そして日本人は動きません。そこで提示されるのが、非常に世俗的な呼びかけ、「元は取ったよね」です。参りました。ここにあるのはアメリカのpositive thinkingの対極の世界です。