野呂邦暢『諫早菖蒲日記』、二十年ぶりくらいに読み返しているのです。
いい小説だというのは知ってました。そりゃ読んだんですから前に。
しかし。ここまで良かったかなぁ。
20歳で読むのと41歳で読むのではこんなに違うのかなぁ。
20年前の僕はどうしてこの本を「ああ、いい小説だった。ちょっと地味な話だけど」なんて感想で済ませてしまえたんだろう。そこまで愚鈍な感受性で生きていたのか?
この小説を読んで吉爺を、志津を、志津の父を好きにならない人間なんているんだろうか。
現実の人間であれ、架空の世界の人間であれ(志津父娘は実在の人物らしいが)、もちろん男であれ女であれ、ああ、この人のことが好きだ、と思える瞬間って、ものすごく幸せなことだと思う。
今僕はこの小説の登場人物たち(とくに吉爺)のことが好きで好きで、とっても幸福な気分なのです。
梓書院の社長に感謝! 復刊してくれてありがとう!