ふりがな付きの,書き下し文と,漢字だけの原文,日本語訳があって,そのあとに,キーワードについての解説,さらに数行から数十行の注釈がつく。
この注釈こそは,中公文庫版で『論語』を買うことのチャームポイントだ。
古注と朱子の新注を参照にした,バランスのとれた注釈は,論語を理解するのに必要な古代中国史に関する知識などを与えてくれて,短いものの,たいへん参考になる。
これさえあれば,吉川幸次郎さんの上下本を買ったりしないでもいいと思う。
岩波文庫版は,索引がついているのが,思いのほか便利であるが,原文,書き下し文,日本語訳の三つだけで,いっさい用語解説も注釈もないシンプルなもの。岩波文庫版と中公文庫版,二つ揃えていれば,意外に訳者によって異なる日本語訳を比較するのも興味深いし,有益だと思う。