●ここ5年ほど、私は業務改善コンサルティングの仕事に従事しています。
それまではメーカー勤務をしておりましたが、36歳からの少し遅めのキャリアチェンジ(そしてチャレンジ)でした。
この新しい仕事をしていく中で…
「コンサルタントとしての正しい仕事・姿勢とはどのようなものだろうか?」
…と問い続け、自分なりに納得のいく職業哲学を構築しようとしています。
この問いへの答えは、当然ながら、そう簡単には見つかりません。
業務上の経験を積み重ねながら自分の中で感覚的に答えを構築しながらも、なかなか形式知化できずにいます。
そんな中、今年に入って小宮一慶さんの本や講義に頻繁に触れるようになりました。
小宮さんは講演や著書で “『論語』のような古典に触れ、正しい考え方/原理原則を身につける大切さ” を常に強調されます。
私もそれに影響され、正しい職業哲学を構築するためのヒントがあるのではと期待しながら、『論語』やその解説本を読み出すようになりました。
●そして本書が、『論語』を読む切っ掛けをくれた小宮さんご自身による「論語本」です。
小宮さんは常々、「一流のビジネスパースンは「技」と「土台」の両方を備えないといけない」というメッセージを発信し続けています。
それを私なりに要約すると…
・「技」はしっかり身につけないと仕事ができないから必須である
・しかし「技」は所詮道具なので、しっかりとした「土台(正しい考え方、価値観、信念)」がそのベースにないといけない。
・「技」と「土台」の両方がないと、一流にはなれない
…ということです。
小宮さんの著作も、大まかには「技」に重点を置かれた本と、「土台」中心の本に分類されると思いますが、この本は「土台」に関するものです。
経営者・リーダー・プロフェッショナルとして一流になるための「土台(正しい考え方、価値観、信念)」が『論語』を通じて解説されます。
(なお本書のタイトルは「…活用法」であったり、帯のコピーには「ノウハウ」なんて書いていますが、そんな軽いビジネスノウハウ書ではありません。)
●個人的に印象に残った部分から二つほど紹介します:
「道に聴きて塗(みち)に説くは、徳をこれ棄つるなり。〔陽貨第十七の十四〕
これは中途半端にしか理解できていないことを他人に教えるのは、
自分の徳を損なう行為であるという意味ですが、これほど迷惑な人はいません。
私はこれまで長いあいだ経験し、勉強してきたことしか話さない (…中略…)
もちろん、まだまだ十分ではありませんから、普段から勉強を欠かすことはありません。
学ぶということは、聞きかじったくりあの”浅い学び”ではありません。
自分のものにできるようになるまで繰り返し勉強する”深い学び”のことです。」(PP.42-43より)
→受け売り程度で話をしてはいけないと反省しました。
「行くに径(みち)に由(よ)らず。 〔雍也第六の十四〕
(中略)
“学問に王道なし”という言葉がありますが、仕事にも王道はありません。
日々の仕事に全力で尽くす、それしかありません。そして、徐々に効率を高めればいいのです。
でも要領がよくなっても決して手を抜いてはいけないのです。」(PP.204-205より)
→要領が良くなれば処理スピードが上がるのは当然。
でも慣れたがために、手を抜いていないかと省みることが大事ということが思い知らされました。
当たり前のことですが、お客さまへのサービスの質の部分で、手を抜いてはいけません。
(そしてこの根本には小宮さんが常に説いているビジネス大原則「お客さま第一」があります)
●上記はほんの一例ですが、自分の仕事における原理原則に立ち返ることができる本ですので、
他の論語の本とともに机に置き、常々見返し「重読」することにしました。
そして、何より、本書は「コンサルタントとしての土台=正しい考え方・価値観・信念とは何か」
という冒頭の個人的な問いを考え続けるにあたっても、大いに参考になり、且つ、
刺激がもらえる内容でした。
この問いを模索し続ける身としては「支え」となる本ですので、星5つとしました。
是非一読をおすすめします!