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著者は、「論理的である」とはどのようなことか、という問題提起からはじめて、人間の思考をモデル化していきます。そしてそうしたモデルを総動員して、「いかに意思決定をすべきか」という一般的問題を、「どのように思考を働かせるべきか」という問題に再構成して、本書は終了します。つまり、本書は認知科学の読み物であると同時に、意思決定方法の提案の書でもあります。本書の関心は広範な領域に渡っています。これを「議論が散漫である」と評価するかどうかは、好みによります。ただ、本書は体系的な理論を与えてくれるわけではありません。また、経験に基づいた実践の指南書でもありません。前者を望むならば学術書を、後者を望むならば、真っ向から自己啓発のために書かれた本を読む方がよいです。しかし本書は、無視するには惜しい魅力をもっています。
遊び飽きたおもちゃを、箱にしまっておいた経験がある人は多いと思います。そうしたおもちゃの、新しい遊び方を急に思いついて、興奮して箱を開けた経験のある人も、いると思います。本書の与えてくれるのはそのような経験です。あるときふと「この問題はあの本に書いてあったことに似ている!」と思いつき本書を開く。そんな体験が楽しい本です。少し厳しいですが、以上が私の本書への評価です。
「脳力の限界に突き当たったとき」「一つにしぼれない原因と結果の法則」といった見出しの翻訳し方、「何かの壁に当たったときのバイブル」といった推薦文を「あざとい」と思わないならば、また「昨今、若者の理数離れが叫ばれ・・・」という問題提起を「陳腐」などと思わないならば、また、「思考を何でも「脳」に還元するやりかたは、認知科学の最先端とは言えないだろう」などと突っ込みを入れない人ならば、心から楽しめる1冊、なのですが。
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