論文作成を,徹頭徹尾対話プロセスとして捉えた,あらゆる執筆活動の手引きとなろう一冊。
論文を,書かれるもの・書かれたものとしてではなく,「書く人・読む人・書かれる対象」間での相互関係の中から立ち現れるものとして捉える。結果,これまでの類書が共時的構造的な知見を与えてくれるものだったのに対し,本書では通時的なダイナミズムの中で書く具体的な手順・秘訣を語るものとなっている。
特に,誰が誰になぜ書くのか,を強く問うてくるが,かといって実存主義的な甘い個人を求めるような話ではなく,むしろポパー流の厳密性を備えた論文執筆へと導く。それは,常に対話という検証過程を踏ませたり,ちょうど,ラカトシュや特にローダンの科学史観が,論文執筆過程の時空間に転写されたかのようなもの。
そんな意味で,これまでにない視点からの論文作成ガイド本であり,かつ,意見とデータのフィードバックによって永遠に変化し続ける研究の一段階としての論文という,まさに「永遠のベータ版」的スタイルは,Web2.0時代を地で行くいかにも現代的な一冊だといえる。
前著と違い汎用性がある内容。国語教育批判から書式などのTipsまで満載でお腹いっぱいだが,ただ,価格が高い。新書で読みたかった。