編集者のバランス感覚を、楽しめる一冊。
端的にいうと「ひっぱたいて国際的に通用する若者にしたい大人」と、
「貧困に陥っている若者を社会的構造からなんとかしたい大人」、
「繋がりたいが緩やかさを求め、濃密な関係を嫌がり、
ネットとゲームと携帯に閉じこもる、自閉的な若者」という姿が浮かんでくる。
私から言えば、保護できる地域や家庭、会社が崩壊し、
市場に晒されてきているのだから、とんがる国際的タフな若者は独学し、上がってくる。
また親の金銭環境や愛情生育や勉強に興味が持てない若者は、
ますます貧困や解雇に陥ると言う、市場化による
暴力性と残酷性が進行していることがよくわかる。
海外は社会の市場化と金銭至上思想がもともと広まっているから、
貧富の差が激しくホームレスが路上にいくらでもいる。
だが救済しようとする社会システムや民間団体もある。
日本は旧来の貧弱な救済システムしかないうえに、
ホームレスやニートを隠ぺいしたあげく、
人間の市場化を進めているために、
残酷さが表面化しているのだ。
市場化のもっとも端的な用語が「自己責任」である。
その言葉には相互扶助や貢献の思想が欠如している。
若者をひっぱたきたいのなら、助け合いの気持ちも必要なのだ。
これを読むと日本社会の過渡期を把握できる。