この本はいくつもの顔を持つ。
田島謹之助さんの貴重な噺家達の写真集、という顔。そしてそれぞれの噺家についての
談志家元の鋭くも愛情豊かな解説。まさにそれはよき時代と噺家達への恋慕を語るエッセイ
の佳作といえる。そして、その解説の内容をよく読めば、当時の噺家とネタについての
家元の批評が現代落語界への風刺にもなっており、優れた落語評論である。
そして、「あの時代に、三丁目の夕日が朱に染まった寄席に、こういった噺家さん達が
間違いなく存在したのだ!」という歴史書の側面だってある。読み進むうちに、膨大な
写真集を目にして「この歴史は残さねば、今のうちに生きているうちに語っておかねば」
という家元の執念までも感じさせる落語愛好家必携の書。