公共工事等の競争入札において、入札に応じる複数事業者が協議して受注予定者や入札価格を決定することは、「不当な取引制限」として独占禁止法の規制対象となっています。従って、現在の日本では法に照らすと明らかに「談合は悪いこと」ではあるのですが、本書は単に談合の実行事例を掲げて「こういう悪いことをする事業者がいる」と断罪するのではなく、
1)土木・建築事業者を中心に、なぜ談合の慣行が定着したのか、
2)談合の慣行が成立していくプロセスはどういうものだったのか、
3)談合を行なうことによって事業者が排除しようとした「害悪」は何だったのか、
4)事業者が談合に参加してしまうインセンティブは何か、
5)談合に参加する事業者同志は「馴れ合い関係」なのか、それとも談合に参加する事業者間でもしのぎを削る「競争」は行なわれているのか、
など、談合慣行の実態に迫り、談合における受注予定者決定のプロセス、談合当事者の見地に立った「談合の経済的合理性」や、不当な競争制限行為を排除していこうとする公正取引委員会の姿勢についてまで、言及しています。
「こういう本が、やはり存在したのか」と私は率直に感嘆し、著者に密かな敬意を抱かざるを得ませんでした。
談合とは何かを詳しく知りたいかた、談合は何故いけないのかをじっくり考えてみたいかた、独占禁止法を詳しく勉強しているかたには、ぜひ本書を一読されることをお勧めします。