ある高名な音楽関係者から勧められ、この本を手に入れました。あまりのおもしろさに一気に読破しました。
自分の腕一つで、誰にはマネのできない技術で、他人におもねることなく人生を突き進んでいく、その生き方に感銘を受けました。
超一流の音楽家が自己表現するための、一点の妥協もゆるされないピアノという道具を完璧に仕上げるという仕事は、誰にでもできることではありません。
何かトラブルが生じれば全て自分の責任になるのですから、並大抵の努力ではできないことです。
二流のピアニストや調律師のことが書かれていますが、二流の人というのは、自己の仕事に対して全身全霊をもって責任を負うと言うことができないから二流なのだと思います。
人間を大事にせず、ねたみとひがみがうずまき、なれあいであらゆる事が進んでいく日本という村社会の中で、人より抜きんでた仕事をやり続けるというのは大変なことですから、どうしても適当なところで手を打つ二流の人が多くなるわけです。そして、それを許す日本の社会が、いつまでたっても世界に通用する人や物を生み出せない元凶になっていると思います。
著者をはじめとする優れた仕事をしている人は、自分の立脚点がしっかりしているので、外部からの雑音に惑わされることなく自分の道を歩んでいくことができるのでしょう。
そのためには、日々の鍛錬を忘れず自分に厳しい生き方が必要になります。
いろいろ批判的なことを言われたり書かれたりすることも多いと思いますが、著者の高木さんはそんなことなど歯牙にもかけず、これからも音楽のために自分の信ずる道を歩んでいくのだと思います。
そういう生き方ってとても格好良いと思います。
私も、自分の仕事の性質上、いつもそうありたいと思いながら生きています。
この本に出会えてとてもはげみになりました。