学校に行きたくてもいけない、友達を作りたくてもできない、それでも家族を愛し、生きるために知恵を働かせ走り、極限になり盗みを働くこういう子供を見ると、満足のいく環境で学校に行っているのにもかかわらず、大切な友達をいじめ、犯罪を遊び半分でやる子供が育つ今の世の中は、一体、子供には何が必要で何が必要ではないのか、もう訳がわからなくなってしまう。
途中少し気になる演出があるけれど、最後まで見るとそんな事はどうでもいいと思えてしまった。あんなにかわいいユキちゃんがいなくなるなんて悲しいと思うと同時に、ユキちゃんにとって、泣いてくれる親がそばにいない事が、残酷であり腹立たしい。
でも、この映画はそこに重く焦点をあてていない。母親がいなくなる時もユキちゃんが死ぬ時も、静かに物語を進めていく。なによりこの映画で、子供達が一度も涙を見せていない。最後のほうで、ユキを埋めながら「ユキが冷たくて気持ち悪かった。」とアキラが言い、そう思った自分を責めるシーンでも、震える手だけを映し、涙は見せない。
観客を泣かせようとする映画が目立つ中で、この映画はそうではない。
宣伝で「泣ける!」なんて言ったりする映画もあるけど、はたしてそれがいい映画か?と疑問に思う。泣かせるより大事なものが、伝えなければいけないものが詰まったこの映画をたくさんの人に見てもらいたい。
「エゴだけど、映画にしたいと思った。」という監督の思いは十分伝わった。
「生きているのは大人だけですか?」
というこの映画のコピーを知って、映画の中の子供達の、搾り出すような声で問われている気がして、胸に突き刺さる。
ラストで4人が暑い日差しの中で歩いてる姿を見て、誰にも知られる事のない、同じような日々を強く生きる彼らの、小さな光を見たような気がした。