著者は「株式会社日本クリード」という不動産会社を設立した言わば「業界側の人間」です。
ワンルームマンション投資を指南する本は世に多々あれど、大抵は業者の社長が書いていたりする点に注意。
なので、既存の流通本は「業者側の都合のいい理屈が目立つ本ばかり」でありました。
で、この著者は「市販のワンルームマンション投資本を何冊も読んだ」後にこの著書を書いています。
ですので、私と同じような「上記の疑問点には当然に到達しています」。その前提が違うだけでも書く内容は違ってくるだろうなと思い、期待しました。
しかしながら・・・・正直「第1章」「第2章」については期待ハズレでした。
他のワンルームマンション投資本と大差ない内容。これで「他のワンルームマンション投資本を何冊も読破した意味は?」と唖然としたものです。
著者は「駐車場経営」「一棟アパート経営」「新築区分マンション投資」「中古区分マンション投資」と比較した上で、
・駐車場は好立地しか出来ない。
・一棟アパート経営は土地持ちの地主さんの相続税対策。
・新築マンションは業者の利益が乗っかっているので儲からない。
と潰していき、最後に残った中古マンション投資を勧めています。(さらにはファミリーよりワンルームのほうが安く買えるからという理由でワンルームマンション投資に行き着いています)
ですが・・・・一棟アパートは中古で取得するなら別に地主さんは関係なくないですか?
著者のいう一棟アパート経営は「新築の一棟アパート」でしょう。中古と新築の区別が為されていないのはおかしいと思いますね。
さらに物件選びではワンルームマンションを
・昭和60年〜平成3年築(所謂、バブル期建築物件)
・平成4年以降築(次世代物件)
とに分けて、利回りでは高いものの今後の入居者のニーズに合わなくなる可能性の高いバブル期物件(広さ13〜17平米、3点ユニットバス)はハイリスク・ハイリターン商品に分類されるので融資を組んで買うのは避け(現金一括買いは可)、次世代物件を主軸にするようにと説いています。
築年が浅い分、利回りも低いのですがバブル期物件よりも長く所有できることで長期的な利益で見ればバブル期物件を上回るようです。
ですが・・・・計算の理屈は「入居者が付かない空室期間は考慮されていない」(全期間が埋まっているものとして話をしてしまっている)ため、机上の空論に近い。
今後の人口減少にも触れていながら「少なくとも東京都では今後も単身世帯は増加する」などとごまかしてしまっています。
はて?この本では「投資エリアを東京23区内に絞ってはいなかったはずです。」それではそもそも地方に購入しようとしている方はどうすればいいのですか???
結論ですが「ワンルームマンション投資」はローンの支払いがある間はあまり儲からないと考えて間違いない模様です。
だからこそ「繰上げ返済して、一刻も早く融資返済完了せなばならない」。それは他のワンルームマンション本でも指摘している点。
そこに加えて他のワンルームマンション投資本では「将来の年金不足の不安を煽り、読者にそれを補填するため」との理由で投資させようとしている。
その場合はその本を書いている著者が「ワンルームマンションの管理会社を経営していたりして」
「では、管理はウチにお任せ!」って感じで顧客を囲い込むわけですね。(←やはり自社宣伝の側面強し。騙されないで下さい)
この本ではその点を指摘しているため、確かに「自社宣伝はほとんどされていません」。それだけでも随分と読みやすくなっています。
で、この本の真の価値は「第3章」にあります。ハッキリ言って、この第3章がなければ「他のワンルームマンション投資本と大差なかった」ことでしょう。
この第3章では購入した区分ワンルームマンションの利回りを上げるための手段を説いています。
ここで多くの人は利回りは購入した金額と入居者の家賃でほぼ決定してしまい、購入後に利回りを上げるなら「高く貸す」しかないのでは?と思うでしょう。
でも、家賃を高く取れる可能性なんて昨今の「借り手有利」のご時勢では現実的ではありません。
そこで語られるのは主に「管理会社・管理組合」についてです。つまり無駄な支出を押さえ込もうというわけです。
区分マンションとはいえ、大きくみれば「一棟マンション」であり、そこには管理組合が当然に存在します。
でも大抵のオーナーはこの管理組合の決議事項にしても集会にしても積極的に参加はしていません。
実需のファミリーマンションならまだしも、投資目的のオーナーばかりでさらには「遠隔地に住んでいたりする」場合は尚更でしょうね。
だから、ほとんどのオーナーは自分の資産が含まれているのも関わらず、運営に消極的です。
その運営に積極的に口を出し、投資環境を改善するために「管理組合の理事長になってしまいまょう」というのが戦略です。
マンションの理事長には「活動手当て」として月額で1〜3万円前後の報酬が支払われます。
つまりこれは「物件の賃料が3割増しくらいになるようなもの」です。
理事長なんて面倒臭そう・・・と誰もが思うことでしょう。だからこそ大抵のマンションでは押し付け合いになっている現状。
でも、理事長になれば例えば遠隔地に在住のオーナーが物件まで行くのに掛かった交通費も「管理組合に経費として請求できる」のです。
だけど・・・仕事が忙しいのでは?と疑問が出るでしょう。
確かにこれが実需のファミリータイプだったりするとそれなりに仕事があります。(総会にも全員とは言わなくても半数は出てきます)
ですが投資用のワンルームマンションでは決議事項もほとんどのオーナーは「委任状で丸投げ」してきます。
実際の管理については管理会社が別にやっているのがほとんどですので、むしろ積極的に引き受けなければ損なのだそうです。
上記のように押し付け合いが多い理事長ですから、立候補すればさほど苦もなくなれてしまうことが多いようです。
めでたく理事長になれたらマンション全体のコストを見直していきましょう。
・管理会社を変更する(管理費の削減)
・電気を個別に一戸一戸契約するのではなく、マンション全体で一括契約にする(電気代の削減)
・共用部の電気契約を大容量の「負荷設備契約」から一般家庭と同じ「主開閉(ブレーカー)契約」に変更する(共用部電気代の節約)
・共用部の電球を「LED電球」に変更する(長寿命によるコスト削減)
・エレベーターの保守管理を「フルメンテナンス契約」から調子の悪い部分だけを調整する「POG契約」に変更(エレベーターコストの見直し)
上記の中では「エレベーター」が特に重要かと思います。なぜなら区分マンションはほぼ確実にRC造(鉄筋コンクリート)かSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の物件ですので、エレベータは確実に付いてきます。入居者には便利なエレベーターですが、オーナー目線では間違いなく「金喰い虫」!!!(笑)
年間の保守点検費用が馬鹿になりませんし、交換となったら下手したら1千万円掛かる場合もあります。
確かに数年前のエレベーター事故で死者が出た例もあるので、点検は重要です。
ですが、費用が莫大故に「省ける部分も多い」と考えられるようです。業者や管理会社の言いなりで契約しているケースは多々ありますので、見直して安くなれば
「他のオーナー様からも感謝され、自らの経験値もアップする一挙両得」になるはずです。
後は大規模修繕の際にしっかりと修繕費が貯められているかどうかは重要なチェックポイント。総戸数が少ないと修繕積立金が貯まらず、後から数百万円単位での追加支払いを求められるケースもあるので、最低でも30戸以上、可能なら50戸以上のマンションを選ぶようにしたほうがいいようです。
基本は「他人任せ」には可能な限りしないことです。自分が積極的に関わるのは「自分自身の投資レベルを上げるため」でもあると認識することです。
というようにこの本で重要なことの7〜8割は「第3章に記載されています」。他はハッキリ言ってさほど他の本と変わりません。
それと84ページ記載の不動産謄本の取得費用ですが、平成23年4月1日から全部事項は1通「1,000円」→「700円」に変更されていますよ。
23年5月初版のこの本が「古い情報を記載している」のはいかがかと思われます。