日本人なら誰しも、海外で初めて国境というものを目にしたときに、強い興味を抱いたことがあるのではないだろうか?日本は島国であるがゆえに、国境という意識が希薄とよく言われる。しかし、本当にそうだろうか?あまりにもナーバスな問題を孕むため、いつの日からか国境について考えることをやめてしまっただけなのではないだろうか?本書はそんな国境について綴った渾身のルポ。
◆我々の知らない国境の現実
・北方領土
電波状況の良い地域では、日本の携帯電話やTV番組を受信することができる。島には、レーニン像やロシアの戦勝記念碑も立っている。
現在、島に住む人たちは、ソ連時代に北方領土の経緯を何も知らされずに来た人たち。
・沖の鳥島
日本最南端の無人島。岩なのか島なのか、議論が分かれており、国境をあいまいにする大きな要因となっている。
・竹島
竹島の頂上にそびえ立つ有人灯台には、韓国国旗がはためく。
・対馬
島の経済は韓国からの観光客によって成り立っている。島根県が「竹島の日」制定後、釜山近郊の都市にて「対馬島の日」が制定される。
・与那国島
日本より台湾の方を身近に感じており、2005年、台湾との間で自由に人と物が行き来できる「国際交流区案」を国に提出。
・尖閣諸島
土地の所有者は日本の個人。国が賃借しているという位置づけ。上陸するたびに罰金が取られる現実もある。
こういうナーバスな話は、冷静なルポに限る。国と国の話以前に、大切なものがある。理不尽な現実の中で生活を強いられる人々の佇まい、今もなおそこを故郷と思い続ける人々の気持ち、複雑な歴史を紡いでいきた島の大地。マスコミには一切報道されないが、タブー視して目をそらすことのできない現実が、そこにはある。
まずは知ること、そして感じること、そんな思いが繋がること、そこからじゃないだろうか。感情論や政治的な駆け引きではなく。