映画『3丁目の夕日』の大ヒットで、昭和30年代当時の日本の庶民の生活がノスタルジアをもって語られるようになっています。その時代にTBSテレビに入社し、演出家として活躍された方ですから、同時代を生き抜いたマスコミ人の目で語っている本でした。
当時の事件の本質を鋭いジャーナリストの視点で語ったかと思うと、流行った小説や映画、テレビの裏舞台を面白く紹介するなど硬軟取り合わせて記述してあるので、同時代を生きた方にとっては大変興味を持って読み進めたことでしょう。その時代を知らない世代に取っても概括的に追体験できる内容だと思います。堅い口調でないのがいいです。当時の映画リストは結構面白く読みました。流行歌も同様ですし、外国からきたテレビドラマの紹介も懐かしい感情が湧きあがってきました。
筆者の鴨下 信一氏は現在TBSテレビ相談役の方です。
本書の内容です。項目をご紹介することで本書の書かれている枠組みを感じ取っていただけると思います。
はじめに 時代区分は必要か
昭和30年代はなんでこんなに懐かしいのだろう まずは“小さい幸せ”が大事な時代だった
「この幸せを手放せない」60年安保の気分 60年安保反対闘争/三井三池争議/蜂ノ巣城攻防戦
「清張」も「風太郎」も必要だった 小説が教師だった時代
アッという間に水が来た 犯罪と災害の世相史
巨匠の映画でこの時代の生活をさぐろう 小津・成瀬・黒澤の「鍵」「カーテン」
こんなにB、C級映画ばかり見ていた ジャンク映画と言うなかれ
音楽は時代の変化そのものだった ロカビリーからフォーク・ソングまで
その時、テレビは何をしていたか 外国テレビ映画とコメディの花盛り
歴史の真実は落ち穂ひろいにあり その落ち穂ひろいからこぼれたこと