著者ドナルド・A・ノーマンは、認知心理学者であり、ヒューマンインタフェース研究の草分け的存在だ。そして本書は、電話機、パソコン、蛇口、コンロなど、私たちの身の周りにある道具と人間の関係を真剣に考える、道具の心理学の本である。
新技術を使った道具についていけなかったり、すぐに使い方を忘れたり、間違えてしまったりするとき、私たちは使えない自分を責め、恥じ入ることが多い。しかし、その態度は間違いであり、原因は道具のデザインにある、と著者は主張する。
「デザイナーは、起こり得るエラーが実際に起こることを想定した上で、そのエラーが起こる確率と、エラーが起こった時の影響が最小になるようにデザインしなければならない…」
この発想こそ、現代ヒューマンインタフェースの根底にあるユーザー中心のデザイン原理であり、本書はこのデザイン原理について一般を対象に初めて語られた代表的著作である。
本書では、まず身の回りにある道具にどのような問題点が隠されているかを考察し、道具を使う人間についての行為や知識に関する認知心理学的な分析を行う。さらにユーザーにとって良いデザインとは何か、なぜデザイナーは良いデザインができないのか、と分析を進め、これらを踏まえた上で、ユーザー中心のデザインの7つの原則を提案する。
学術的には高度な内容であるにもかかわらず、その語り口調は軽快でわかりやすい。本書自体、大変ユーザーフレンドリーなのである。すべてのデザイナーにわかってもらいたい。そうした彼の考えが貫かれた1冊だ。(松本浩二)
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この本の主張はこの1文に集約できる、と私は敢えて断定します。日常の道具である電灯のスイッチやドアのデザインを具体例に、使いやすくデザインするための原則が丁寧に説明されています。
実例はこのような日常の道具なのですが、ひとが使うためのものであれば誰にでも適用できる原則です。そして、世の中にはひとの使うためのものはたくさんあります。あなたの仕事や専門に照らして考えてみてください。「使いにくいのはデザインのせいである」と思える何かがあるのではないでしょうか。
私自身も、専門としている仕事にかかわる、しかしながら普通の意味の「道具」ではないところに関して、非常にこの本が参考になりました。読む前は思いもよらなかった収穫です。
本書中、悪いデザインの例としてオフィスの電話を、良い例として自動車を取り上げています。
きっとあなたのオフィスの電話にも、ピックアップや保留等の機能がついています。ぶ厚いマニュアルを読まないと機能の存在さえわからないだけです。
これに対して自動車は、電話より機能が多い(エアコンやオーディオまである)のに、初めて乗る自動車でも、運転できると思います。
この2つの差は、ユーザの勉強不足等が理由ではなく、商品のデザインに関係しているというのが本著者の主張であり、非常に参考になります。
私も技術者のはしくれですが、今まで「マニュアルをきちんと書く」というのが最良であると教えられ自分でもそう考えていましたが、
★マニュアルが無しで操作可能なように設計(デザイン)する★
が最良の道であることを知りました。
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