書店で非常に売れているということで手に取った。
66個ものルールをすぐにマスターして使える人はいないので、ルールが多すぎると尻込みしてしまう人も多いだろう。
ただ、よく読むとルールは66個ではなく、数個のシンプルな原則に集約される。
最も重要なのは、会話の内容よりも相手の「気持ち」に照準を合わせるということ。
「昨日は定時で帰るはずが、課長につかまって3時間も残業したよ」という会話には、
「何の仕事だったの?」と内容を深堀りするのではなく、
「それは災難だったね」と相手の気持ちに共感を示してあげることで相手も話しやすくなる、という具合に。
文章もシンプルで明快、会話の例もわかりやすく、一部のテクニックはすぐにでも使える、実践的な本だろう。
ただ、この手の本にありがちなのだが、「相手の気持ち、つまり相手が聞いてほしいこと、共感してほしいことに会話を持っていくべき」だというのはよく理解できる。
だとすれば相手の言葉の奥にある気持ちをどう読み取るのだろうか、一番重要なその点については、詳しく書かれていない。
要するに、相手の気持ちを理解する能力のある人でなければ、相手の気持ちに共感した会話を展開できないわけで、
その能力のない人(相手の気持ちのわからない人)にいくら「相手の気持ちに共感しろ」と言っても、有効ではない。
つまり本書の問題は、「相手の気持ちを理解できる」ことを前提とした会話のテクニックの解説であること。
本書を手に取る人は自分の会話の進め方に問題を感じているはずで、その一部は「相手のほんとうの気持ちがわからない」ことに原因があるのだから、
その人が本書を読んでも相手の気持ちがわかるようにはならないし、それを本書に求めてもいけない。
やはり最も大切な「相手の気持ちを読み取れる能力」というのは、才能だとしか言いようがない、ということだろうか。