本作を観ていると、つくづくブッシュ前大統領の人相の悪さがわかる(笑)。利権の亡者が仕切った時代のアメリカは、半世紀のちにも教科書で語り継がれるだろう。「悪い見本」としてね。ともあれ、まだ20世紀末のアメリカ・ビッグ3には良心が残っていた、ということだ。EVを開発すればエコロジーにもつながる。また日本車メーカーにも正面から戦えるキラーツールでもあった。映像で見るGMの初代EV1のデザインは、お世辞にもカッコいいとはいえない。でも「志」があるクルマには「知性」を感じる。トヨタRAV4のEVも、前モデルなのに「EVのために作ったデザイン」みたいに見えるのが凄い。でも前政権は、これを石油市場への妨害と取り、全てスクラップにしてしまった。おかげで大得意様のハリウッドスターは皆「プリウス」を買い、ビッグ3の市場はさらに狭くなった。その上にリーマンショックが重なり、もはや3社ともに青息吐息の状態だ。前大統領は悠々自適だろうが、残された従業員はたまったもんじゃない。2010年には日産と三菱(試験販売は開始済)がEVを発売予定であり、トヨタ・ホンダもハイブリッドをさらに進化させてくるだろう。目先の利益に惑わされて、将来を棒に振った業界の顛末が本作には描かれている。特典映像がないのは残念だが、エコに興味のある方はぜひ観て欲しい良質のドキュメンタリーだ。GMのEVを購入したメル・ギブソンの皮肉いっぱいのインタビューも必見。星4つ。