星、四つである。そのわけは凡百なタイトルにある。結論としての開戦責任の所在なんてそれほど意味がない。問題なのはその時何が起きていたのか、なのだ。同時代の視線を持って眺めなければ、本当の歴史の教訓を汲み取ることは出来ない。
しかしながら、結論を決めつけないで、事実を追って真実に迫ろうとする著者の姿勢をタイトルから読み取ることはできる。著者はその姿勢から近代史における新しい史観を提供してくれる。いつもながら興奮を禁じえない。
「陸軍は粗暴犯、海軍は知能犯」と昔から言われる。だが、ずっとその意味が分らなかった。本書を読んで初めてその意味を知った。ネタバレだが、はっきり言おう。本書の価値がそんなところにない事を確信するから。あの戦争を起こしたのは海軍だ。ヒトラーの対仏戦勝利の後、英国防衛のためにアメリカは空母24隻を中核とする建艦計画を発表する。ところが、これを知った日本海軍は対抗の不可能を知り、恐怖する。大艦隊が地上に出現する前に攻撃を掛けるしか、帝国を守る責任を果たせないと思いつめる。
どうにも、風が吹けば桶屋が儲かる式の話だと思うかもしれない。そう思う方は一読して確かめて頂きたい。私は今まで断片的だった未消化の情報がこの史観に見事にハマってゆく快感を感じながら読了することが出来た。