半世紀にわたって日本映画界に携わり、数々の名作を手掛けてきた日本映画界を代表するキャメラマンとなった木村大作。初監督作品『
劔岳 点の記』(6.20公開、主演:浅野忠信)の公開を記念して、本書は、50年間に及ぶ氏のキャメラマン人生の軌跡を振り返る内容となっている。
・ 厳冬期の八甲田における日本陸軍の雪中行軍演習での人間と自然の相克を壮大なスケールで描いた傑作『
八甲田山』
・ 映画史上初の南極ロケを敢行し、ウィルスによる人類滅亡を壮大なスケールで描いた小松左京原作によるSF超大作『
復活の日』、
・ 北海道の片隅にある終着駅でひとり駅に立ち続けて働く鉄道員・乙松に起こった心を揺さぶる“やさしい奇蹟”の物語を描き、日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた名作『
鉄道員〈ぽっぽや〉』
・ 今回、初めて自らメガホンを取り、劔岳での厳しい極寒山岳ロケを敢行し、日本地図を完成させるために、未踏峰の劔岳山頂を目指す男たちを描いた大ヒット作品『
劔岳 点の記』
特に上記に掲げた作品の撮影秘話は面白く、『八甲田山』以来、自然の中でスタッフも俳優もその人間性が試される、過酷な撮影を何度も体験してきた事が氏の映画作りの原点となっており、CG映像全盛の昨今、本物の自然が持つ厳しさの中に美しさを追い求める氏の決して妥協しない映画作りに対する姿勢や情熱がよく伝わり、今回初めて監督された『劔岳 点の記』こそ、まさに氏の映画作りの集大成ともいえる作品であるだろう。
特に『
ホタル』(監督:降旗康男、主演:高倉健)での撮影秘話でもの凄い天候の中、撮影を敢行する氏に苦言を呈した健さんに仰った一言が印象的でした。
「僕は美しさというのは、厳しさの中にしか絶対出ないと思うんです。映画も同じで、楽な姿勢、楽な場所、楽な条件では、美しく撮れないと思っています。そのときの状況の厳しさに対抗しようとするから、人間は美しくなるんです。」