著者が言うように、本を読むということは「生活のたしになることもなければ、社会を判断することのたしになるものでもない」し、「有益なわけでも有害なわけでもない」。それなのに、なぜ私たちは太古の昔から綿々と書籍を編み続けているのだろうか。本書は、こんな問いに対する明解な答えを与えてはくれない。だが、その問いについて少し真剣に考えてみるきっかけを与えてくれる。
「なにに向かって読むのか」「どう読んできたか」「なにを読んだか、なにを読むか」という3つの角度から、著者は読書の「本質」について私たちに語りかける。プラトンや『古事記』から漱石やサルトル、そして萩尾望都や江口寿史と、古今東西を網羅する恐ろしく幅広い読書リストが挙げられているが、そんな著者の人生に最も影響を与えた3冊は、ファーブルの『昆虫記』、『新約聖書』、マルクスの『資本論』だという。
タイトルだけ見れば、「なにを読めばよいのか」を説く手軽なガイドブックかと見まごうが、実は著者の思想の背景が存分に詰まった貴重な1冊である。(深澤晴彦) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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人が読んできた本を知るのは、その人の歴史を知ることで、吉本氏の読んできた本、読む姿勢を知るのは、とても嬉しい作業だった。この本は、吉本隆明が書くから面白いのだな、と思う。ただの評論の本でもなく、読む方法が書いてある本でもない、とにかく「面白い読書」が出来る本だ。
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