本書は、短編小説3編、ショートショート2編、戯曲1編、テレビドラマ1編と、多彩な作品を収めた作品集です。
これらの作品の長さや形式はさまざまですが、山田太一の小説など諸作品に共通する不思議なテイストやせつなさのある作品ばかりです。
中でも、私にとっては、「あの街は消えた」(短編小説)、「川崎へいらっしゃい」(ショート・ショート)、読んでいない絵本(短編小説)は非常に印象深い作品でした。
また、「本当の嘘とテキーラ」(テレビドラマ)は、読みながら「どんな展開になるんだろう」と惹きこまれ、終盤には「日々テキーラしている私たち大人は、どこまで真実を大事にしながら生きていけるか」と感じながら、感慨深く読みました。「本当のことをいうのも大変だが、嘘をついたっていうのも、なかなかこれで大変でね。」とか、「あなたをほめたい。一刻も早くほめたいと思ってやってきました。」など、山崎努扮する社長役の言葉は心に響きます。(もっとたくさん、いい言葉が続きますが、ネタばらしになるので書けません。)
この本は、心に響き、本を閉じた後も不思議な余韻が残る名作品集です。
私は、1夜に1話ずつ読み進め、夜毎に、「読んでは余韻にひたり・・・・」を繰り返しました。
誰にでもお薦めできる本ではありませんが、騒々しい昨今の世の中にウンザリする心情や、晴れた日ばかりだと少し疲れるというような感性をもった人であれば、静かに共感できる本と思います。