“読む音楽”という概念には私も大いに心当たりがある。
金はないが欲しいCDは無数にあった高校時代(90年代後半)。私の場合はメタルだったが、音楽雑誌に載ってるバンドのインタビューや、レコード会社の発行しているフリーペーパーのテキスト。或いはもっと短い、CDの帯に書かれているコメントや、当時から細分化されつつあったジャンル名などで、このバンドはどんな音を出しているのか、想像はどんどん膨らんでいったものだ。
本書は同人をメインに活動されてるテクノウチ氏が、同人シーンや彼の本業であるクラブ・シーンについて語り、同人音楽シーンの大御所たちが本書に寄稿し、海外のネット・レーベルにインタビューを敢行し、300ページを越すボリュームで、明らかに自主レーベルなTCNBK-001という品番で出版された一冊である。
聴いてきた音楽のジャンルは違えど、私とテクノウチ氏の辿ってきた道には共通するものを感じる。
音楽は、もちろん楽曲の良さは最優先だが、それ以外にもジャケット、アーティストの生い立ちや考え方、アルバムを覆う世界観など、音楽以外の要素も重要な位置を占めている。
本人がもう1ページ目の1行目に書いているが「音楽の楽しみ方というのは音を聴くだけではない」ということなのだ。
CDが売れない今の日本の音楽業界において、唯一急成長中なのが、この同人音楽と呼ばれる分野。
しかしその同人音楽がどれだけ売れようと例えばコミケや同人ショップで大手サークルのCDが何万枚売れようが、それがオリコンに上がることは決してない。
そのうちオリコンは、中身のない虚ろな、ただ消費されていくだけの音楽とも呼べない『商材』がただ上がっては消えていくだけの場になっていくだろう。私はその方が良いと思っている。
音楽を、音楽好きの手に取り戻す。自分だけの音楽を追求・開拓・もしくは製作していく。
何を言っているのかわからなくなってしまったが、本書はきっと、その助けになる。