司馬遼太郎さんは、「専門書」に当たる前に「子ども向けの本」に目を通したそうである。「子ども向けの本」は一流の著者が執筆していてわかりやすく、それから「専門書」に当たると、夜が明けたような理解が得られる主旨のことをどこかで記されていた。
この本は『心理学ジュニアライブラリー』の一冊として、中高校生向けに記された本である。認知心理学をベースとして、「読む」あるいは「書く」ということは、どのような営為であるか(こころのなかでどのような仕事がなされているか)がたいへんわかりやすく記されている。
「内的辞書」「推論」「既有知識」「ボトムアップ処理」「トップダウン処理」「方略」「モニタリング」「批判的読み」「長期記憶」「作動記憶」などの心理学用語も書籍のなかで丁寧に説明されている。
読み、あるいは、書く際に、自分のこころの中でどのような作業がなされているかを知り、そのことに自覚的であることは読解力のアップ、作文力のアップとなるにちがいない。
著者は「専門書」として『文章理解の心理学』(北大路書房)を勧めてもいるが、その前に当該書籍に当たっておくことは「夜明けのような理解」を得るうえで助けになるにちがいない。