同業者である弱小出版社の友人と飲んで酔っ払うと必ず最後は、いつかはベストセラーを出したいな!という話で盛り上がる。だから、ベストセラー本には無関心ではいられない。それも、嫉妬まじりの皮肉な目で眺めることになる。どうしてこんな本がベストセラーに? 何度、そんなふうに思ったことか。しかし、大半はバカバカしくって読む気にもなれない。
そんなとき、信頼のおける書評家・斎藤美奈子さんが、読んでくれたのである。斎藤さんのガイドでタレント本やらベストセラー本を読めるなんて、まあ、なんという贅沢。
この書評集には媚がない。たとえば、『僕は馬鹿になった。ビートたけし詩集』は「誰かの無防備な下着姿を見ちゃったようなものです、ひたすら対処に困るのである」とか、『おとな二人の午後』(五木寛之+塩野七生)は「こうしてみると、<おとな>って叶姉妹みたいやな。活字でよかった。どこぞのカフェで、初老の男女がこんな会話をかわしていたら、まじまじ顔を見ちゃうとこであった」など、どんな大御所に対しても遠慮会釈なく本質を突く。しかも、ユーモアたっぷり、意地悪たっぷり。しかし『「拉致」異存』(太田昌国著)や『野中広務 差別と権力』(魚住昭著)などの真面目な本は、超真面目に案内してくれる。
2000年4月から2004年9月まで、5年間にわたる話題のベストセラーを中心に175冊がぎっしり詰まっている。ほめ書評ばかりを読み、もの足りない思いの人には絶対におススメ。