戦後の政界は55年体制の歴史と言えるかと思います。三木武吉という人は、その中心であり続けた「自由民主党を創った人」と言っていいのではないでしょうか。彼は保守合同を成し遂げた後亡くなってしまいました。本書は、彼の生い立ちから亡くなるまでの経歴を、多彩な人間関係や事件、エピソードとともに構成されています。
あまり知られない人物かも知れませんが、「現代にはいそうにもない人だ、昔はこういう人がいたのだ」と思わせるほどの興味深い記述も多々あります。個人的には「早稲田学生時代に、山県有朋邸の前で連日藩閥政治の非難を話題に演説の練習をした」「対米開戦前に東条英機にそれを諫めたこと。聞き入れられないと、板垣征四郎に忠告しに南京まで行った」ことなどに驚きました。容易に想像ができますが、命がけの行為であったはずです。一般的には「策士・謀略の将」とのイメージが大きいでしょう。私もそうだったのですが、この一冊で印象が大きく変わりました。
所々に作者の主観も混じっていますが、それでも三木武吉という人物を知るための良い手がかりとなると思います。ページ数も手ごろでテンポ良く一気に読むことができました。手にとってみてはいかがでしょうか。