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誠実な詐欺師 (トーベ・ヤンソンコレクション)
 
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誠実な詐欺師 (トーベ・ヤンソンコレクション) [単行本]

トーベ ヤンソン , Tove Jansson , 冨原 眞弓
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

雪に埋もれた海辺に佇む「兎屋敷」の薄明りのなか、風変わりなひとりの娘と従順な一匹の犬が交わす長いたくらみ。この世のだれひとりとして傷つけることなく、わたしたちが手に入れられるものとは。ポスト・ムーミンとして澄み切った文体で描かれた、著者渾身の傑作長編。

内容(「MARC」データベースより)

雪に埋もれた兎屋敷の薄明りの中、風変わりな一人の娘と従順な一匹の犬とが交わす長い企み。この世の誰一人として傷つけずに私達が手に入れられるものとは。ポスト・ムーミンとして澄んだ文体で描かれた著者渾身の傑作長編。

登録情報

  • 単行本: 183ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (1995/12)
  • ISBN-10: 4480770127
  • ISBN-13: 978-4480770127
  • 発売日: 1995/12
  • 商品の寸法: 18.8 x 12.4 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 459,556位 (本のベストセラーを見る)
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31 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
ここひと月、この海辺の村は降りしきる雪に見舞われていた。
村人は朝寝坊をきめこむ。
もう朝らしい朝も来ないのだから。

たったこれだけ。なのにこの文章だけで例えば雪を実際に見たことがない人でも、じんわりと心を閉ざさんとする雪の感触が、伝わるかもしれません。
私は雪深い土地に生まれ育った。荒々しい波が打ち寄せる海まで歩いて10分という所に住んでいる。この物語の冒頭から物語にすんなり入り込めたのも、この物語が私の心を離さないのもそれに少し関係があるかもしれない。私は毎年この本を手にとる。冬の匂いがしてくると、どうしても読んでしまう。

厳寒のフィンランドが舞台となっているこの「誠実な詐欺師」はタイトルからして相反する単語の結合である。人を誠実に欺くとはどういうことだろう?
お金がないばかりに苦労を重ねて生きて来た女性(彼女には数学に関する哲学と非凡な計算能力がある)カトリと、両親が残した莫大な不動産と自らの画家としての才能が生む印税という動産を持つ女性(お金には興味がなく、彼女曰くお金の話は下品なのだそうだ)アンナがある事件をきっかけに同居を始める。しかしその同居はカトリがずっと温め続けた、たったひとつの夢を実現させる為に作られたシナリオ。彼女は誠実にアンナの財産を掠めてゆく。他人と触れあうことによって生!じる温もりではなく、壊されてゆく日常と奇妙に絡まった絆。読み進めて行くと、「詐欺師」という言葉よりもむしろ「誠実」という言葉が重みを増してゆく。やり方はともかく、カトリは誰よりも誠実なのだ。
ストイックに簡素化された文章が、吐き出された雪のように読み手の感情に揺さぶりをかける。悪い人間は誰一人として存在せず、なのに所在ない切なさがそこにあった。 読み終わった後、あの街は、そして彼女たちはどうしているのだろうと徒然に思う瞬間を与えてくれる。 ムーミンシリーズとは趣の違うこの1册は間違いなくトーベヤンソンの真骨頂。 是非、御一読を!

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15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
小気味よく場面が切り替わる、そのうちワケが判らなくなって少々戻ったりもした。物語全体に流れるのは、雪、氷原、冷たく吹きつける風。色ならば、白、灰色。登場人物たちもそれに似て・・・。しかし、読み終えた時、私は泣いていた。彼らの気持ちが痛いほどわかって。苦しみの源はまさにそれなのだ!そして考えた。私は、カトリなのか、アエメリンなのか、それともマッツなのか?そのどれにも当てはまる。自分と重ね合わせて読んでいく人物が、章を追う毎に変わっていった小説。「作者の最も重要なテーマが余韻をもって語られる」(解説より)まさにその通りの小説です。ムーミンとは一味違う、トーベの小説集の中の奥深い一冊です。
このレビューは参考になりましたか?
4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「誠実な詐欺師」とは奇妙な題名だ。
「誠実な詐欺師」とは誰なのか。

実は
「アンナ」は、ムーミンを書く「ヤンソン」であり
「カトリ」もまた、冷静な目で人生を文章に紡ぐ
「ヤンソン」ではないか。

「誠実な詐欺師」は
「ヤンソン」であり
また、この作品を読む「私」ではないか。

人生において
人はいつも、「誠実な詐欺師」なのだから。

こう思わせてしまうのは、
ヤンソンの罠に
まんまと嵌ってしまった証拠かもしれない。
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