倭人伝にいまさら新しい解釈などあるまいと思っていたが、著者は魏志と魏略・広志逸文と
対比して魏略を復元し、奴国・不弥国・投馬国は、陳寿が伊都国を起点に倭国の大局を示すために
補ったものだという。一理ある解釈である。
また、橘という名を持つ皇妃(允恭妃、雄略妃、宣化妃、天智妃)、および用明(橘豊日)は、
南方に橘を取りに行ったという但馬守に由来し、彼等が淀川流域に所在する渡来系勢力で、
蘇我氏との両頭政治であり対抗勢力だという。
乙巳の変は淀川勢力対東漢氏の争いに百済がからんだ結果だという。スケールの大きい構想で
新鮮みがあり、かつなかなか説得的である。
文章もたいへんよみやすい。久しぶりにちょっと興奮した本である。