この本は、今から10年以上前・・・1998年、朝日新聞社から出版されたものに、
新たに「第3章 アメリカ安居体験記」を加筆、そして宮崎哲弥氏の解説を加えて文庫化されたものである。
元になった単行本は今や絶版になっており、入手困難である。
何といってもこの本の凄みは、若かりし頃の著者の、赤裸々な告白にあると思う。
生きていることの不安、自分が自分であることの脆さ、
死を理解することの困難性・・・そして、仏教との出会い。
著者自身の幼少期の体験が、想いが、第1章において痛切に書き綴られている。
あとがきでも述べられているが、「作家のすべては処女作に表れる」とは、
この場合まさにその通りであろう。表れざるを得ないのである。