雑誌『SWITCH』の編集者だった著者が、レンタカーでスモールタウンだけに立ち寄って全米を横断した旅行記。
潮流から外れたスモールタウンで小さな物語が日々紡がれていく。
誰もが物語の主人公。
地に足をつけて生き、そしてそこで死んでいく人たちの日常を、感傷に浸りすぎず鮮やかに切り取っている。
共和党と民主党、都心と郊外、ブッシュと中東とオイル、スピルバーグ、マイケル・ムーア……。
勝者と敗者、善人と悪人、という単純な図式でしかアメリカという大国を読めなかったのが、ゆっくりと変わっていく。
かみしめるうちに味が出てくる。
旅行記というより、短編小説を味わったような気持ちになった、という小池昌代の解説以上の言葉はないだろう。
アメリカにわたる前にこの本をそっと渡してくれた友人に、深く感謝する。