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語りえぬものを語る
 
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語りえぬものを語る [単行本]

野矢 茂樹
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 2,625 通常配送無料 詳細
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語りえぬものを語る + ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む (ちくま学芸文庫)
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商品の説明

内容説明

野矢茂樹が描き出す魅惑の哲学的風景とは。相対主義の話、ウィトゲンシュタインの転回について、過去とは何か、私的言語とは、自由とは……。哲学の根本をスリリングに楽しく考えぬいた著者会心の主著!

内容(「BOOK」データベースより)

相貌論、懐疑論、ウィトゲンシュタインの転回、過去、隠喩、自由…。スリリングに展開する著者会心の「哲学的風景」。

登録情報

  • 単行本: 490ページ
  • 出版社: 講談社 (2011/7/8)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062170957
  • ISBN-13: 978-4062170956
  • 発売日: 2011/7/8
  • 商品の寸法: 18.8 x 13.2 x 3.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
この本は、講談社のPR誌で2年間にわたり連載されていた文章が基本になりながら、章によっては追記の註のほうが長いという、変わった形式になっています。
私は西洋哲学の原典を読み通したこともなく、日本の現代思想などを折に触れて読む程度の知識と頭脳しか持ち合わせていません。そんな私が読んでみて、おもしろさは抜群です。決してすらすらとは読めませんが、その理由は筆者が感覚で哲学していないからです。論理的に、一歩一歩自分で考えた言葉で文章が進んでいくので、その歩みについて行くのは骨がおれます。ただし、一つの章を読み終えた時、間違いなくこれまで知らなかった世界が開けてきます。それに随所で可笑しな造語を使って笑わせてくれたり、読者を諦めさせまいと筆者が助けてくれている気さえしました。

「世の中に絶対は絶対ないのか」「科学は世界を語りつくせない」など、「語りえないもの」の周囲を予感として語ろうとした本です。 分析哲学についての知識があれば、より理解が深まるのかもしれませんが、決して知識のない読み手を排除するような本ではありません。むしろ、日常の言葉でほんとうに哲学をするという難技に取り組んだ好例といえると思います。最後のあとがきに掲載された短い論文が、筆者の立ち位置を表しています。ここから読むとよいかもしれません。 おすすめです。
このレビューは参考になりましたか?
47 人中、36人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
本書の語り口はソフトというよりも「細い」という感じがします。
話の目先がコロコロ変わるため論証に厚みはなく、野矢氏の考える
ひと筋の論理のみが語られます。
これは『哲学・航海日誌』でも同様に感じました。
ゆえに、そのひと筋の道のどこかで納得できなくなるとその先を読む
のが苦痛になるので、好き嫌いがあると思います。

本書は、現代哲学の基礎知識がある人を読者層としています。
1・2章では、ウィトゲンシュタインの『論考』の知識が必要です。
3・4・5章は入不二の『相対主義の極北』やクーンのパラダイム論の
知識がないと面白さ半減です。
6〜9章はデイヴィドソンの「概念枠という考えそのものについて」
という有名な論文の知識が必要です。『真理と解釈』にあります。
デイヴィドソンはこれを「第三のドグマ」としますが、これはクワイン
の「経験主義の二つのドグマ」が前提となっています。
『論理的観点から』にある超有名な論文です。
クワインの翻訳の不確実性についての知識も必要です。
私は野矢氏の論理には納得できませんでした。

10〜17章はグッドマンの「グルー」やクリプキの「クワス算」の
知識が必要です。『事実・虚構・予言』、『ウィトゲンシュタインの
パラドックス』、『哲学探究』などを読んでいないとついていけません。
これらを簡単にまとめたものとして、飯田の『クリプキ』がお勧めです。
なお野矢氏は「以下同様」と述べられていてもこのパラドクスが成り立つ
と再三強調しますが、私は納得できません。
ある語の対象がある時点から緑から青に「変化した」ことや、ある時点
からクワス算に「変化した」ことの認識は、「グルー」や「クワス算」の
側も有しているはずで、「以下同様」としてもこの変化が当然に生じると
するとちょっとスジが違う議論になると思います。

18・19章は、ウィトゲンシュタインの私的言語の知識を要します。
20・21章は、物語・歴史の哲学についての野家の議論を知らないと
面白くないと思います。
その後も26章まで現代哲学についての基礎的な知識が必要な話が続き
ますが、基礎知識がある人ならば争点について腰を据えた議論を望み、
目先がコロコロ変わって行く野矢氏の細い論証に満足できるであろうか
という感じもします。
本書の読者層が果たして野矢氏の論証に満足できるだろうかというのが
私の偽らざる感想です。
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Tod
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 哲学とは批判であり、既存概念の破壊である。そうである以上哲学的著作の言い回しは、どうしても否定的・攻撃的な表現になりやすい。ニーチェは極端だとしても、現代のわが国の哲学者においてもその傾向は基本的に変わらない。志が高ければ高いほど、気概が強ければ強いほど、声は大きく言葉は過激になりやすい。
 著者の熱意は読者にも伝染する。哲学書を読み理解できた喜びは、攻撃的・批判的な言動となって迸ることが多い。しかもその矛先があろうことか批判精神をもたらした著者に向けられることさえしばしばである。哲学の歴史とは批判の応酬の歴史でもある。
 だが不思議なことに野矢の哲学書は、読んでもなぜかそのような攻撃的・批判的な気持ちにならない。かといって書かれている内容が浅いわけでは決してない。深くて分かりやすくて面白い。しかも読者を和ませてくれる。恐らくは野矢の人柄によるのであろうが、それは希少で貴重な癒やし系の哲学なのである。
 野矢の哲学書が癒やし系であるのはその語り口だけではない。野矢哲学は決して常識から外れることがない。難解な議論から突飛な結論を引き出すのではなく、われわれが普段当たり前のように思っていることを正確かつ緻密に分析し再考させてくれる。著者自身が言っているように、野矢がわれわれに見せてくれるのは哲学的風景であって、目もくらむような深淵やおどろおどろしい怪物ではない。それを美しいと感じるか物足りないと思うかは、読者の好みによるのだろうけれども。
 個人的には斉一性の原理について論じている部分が興味深かった。われわれは過去に起こったことは未来にも起こり、過去に起こらなかったことは未来にも起こらないと信憑している。その最たる例が死の自覚だろう。われわれが自分の死を信憑するのは、今までに死ななかった人間が一人もいなかったからにほかならない。だがそのような時間的斉一性のほかに、「他人に起こることは自分にも起こる」という空間的斉一性もなければ、死の観念は成立しないだろう。
「語りえぬものについては沈黙しなければならない」というウィトゲンシュタインの言葉に対抗するかのような挑戦的タイトルとは裏腹に、内容はいつもどおり穏やかで優しく温もりが感じられる。野矢は言葉が届かない彼方を目指すのではなく、言葉が生まれる手前を掘り起こそうとする。なかなかに分厚い本ではあるが、険しい山に登るがごとくねじり鉢巻をして構える必要はない。散歩するような気軽さで、読者は優れた哲学エッセーを賞味することができる。
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