弁護士夫婦の一人息子で8年生(中学2年相当)のセオが、大切な人の失踪に立ち向かう物語です。300ページを超える大作ですが、レイアウトには余裕がありますし、文章も平易で読みやすい。多くの漢字にルビがあり、ハリー・ポッターをすんなり読める小中学生なら問題なく読めそうです。
本書はセオの事件簿シリーズ全4巻(予定)の第2作で、第1作『
なぞの目撃者』の結末から間もない時期を描いています。巻頭から前作で家庭問題が解決しなかったエイプリルが失踪し、脱獄した誘拐犯が街へ現れます。セオたちの捜索は成果がなく、逮捕された脱獄囚は失踪事件の情報提供と引換に司法取引を要求します。
話が面白くなってきたところで物語が膠着し、ジリジリとした展開になるグリシャム流は、本作でも健在。これを「リアルで読み応えがある」と感じるか、イライラするか……。本作の終盤、セオは大活躍しますが、「え? そんな結末?」なのは、いつも通り。私はこの「ですよねー」な感じが好きですが、派手な事件を名探偵が見事に解決するカタルシスをお求めの方は、他書をご検討ください。
著者は弁護士なのですが、前作の「無罪の推定」に続き、本作の「司法取引」にもネガティブな物語展開。2作続けて「悪そうなヤツはやっぱり悪党だった」であり、弁護士精神は旗色が悪い。身近なトラブルの解決には手応えを感じているセオですが、弁護士の仕事の意味をめぐって、シリーズ完結までには、一波乱ありそうな予感がします。
訳者解説によれば、2012年秋に発売予定の第3巻では、いよいよ第1巻の事件のやりなおし裁判が開かれるとのこと。そして完結編は2013年秋の予定で、今から待ち遠しいです。