4組、総勢10名のジャーナリストやその関係者を標的にした誘拐事件の、始まりから終わりまでを描いたノンフィクションです。
が、主軸となっているのは当選間もない大統領が、事件の黒幕であるメデジン・カルテルの大物エスコバルを投降に導くまでの駆け引きです。
ガルシア・マルケスは元ジャーナリストだということですが、本書ではその才能が如何なく発揮されています。
400ページを超える長編ですが、途中で立ち止まることなく、一気読みしてしまいました。
多彩な登場人物、彼らの生い立ちや背景、あるいは当時のコロンビア国内外の情勢など、入り組んだ実情を、視点を被害者側と救出者側に適宜切り替えることで非常にわかり易くまとめてあり、途中でこんがらがってしまうようなことが一度もありませんでした。
特にエスコバルの「ああ言えばこう言う」的な戦術のしたたかさと、それに対する政権側の現実的かつドライな対応は迫力があります。
駆け引きとはこういうものかと(そして人はどこで判断を間違うのかも)実感できるノンフィクションです。