準男爵未亡人のヴァネッサは、実家の家計を切り盛りするしっかり者。
彼女は、弟が賭に負け領地(全財産)を取り上げられるのを防ぐため、放蕩者のダミアンの愛人になることを決めます。
「純真なしっかり者×放蕩者」・・・という設定はあまたありますが、この作品はひと味違いました。
まず、冒頭からインパクトのあるダミアンと別の女性の絡みがあり、でもそのせいで読者にはヴァネッサとの愛がいかに貴重なものかよく伝わります。
作品全体を通して、前半の些細なシーンが、物語の後半をより引き立てているという感じを受けます。
また人物関係がちょっとずつ微妙に絡んでいて(ダミアンは妹を傷つけたヴァネッサの弟に復讐するつもりでいたり、
ヴァネッサがダミアンの妹の面倒を見たり、ダミアンと関係があった女性がヴァネッサの亡き夫の愛人であったり・・・)
そのせいで各々の葛藤生み、作品におもしろみと深みを出しています。
ダミアンの放蕩者度(?)はかなり高めだと思います。生半可じゃないです。
でも、紆余曲折を経て人を愛することを知ってからの彼の行動には本当に涙が出ました。
またヴァネッサの運命を受け入れる強さや、押しつけがましくない愛情にほろりとしました。
今までのニコールの作品は誘惑シーンやホットさが全面に出ていて、何冊か読むと「ワンパターンだな」とも思うこともありましたが、
この作品はその情熱的な部分を残しつつ、構成のうまさ・心理描写の巧みさに「ひと皮むけた作品」という印象を受けました。