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誕生日の子どもたち (文春文庫)
 
 

誕生日の子どもたち (文春文庫) [文庫]

トルーマン カポーティ , Truman Capote , 村上 春樹
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (16件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 620 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「私が泣くのは大人になりすぎたからだよ」。かつて悪意の存在を知らず、傷つけ傷つくことから遠く隔たっていた世界へカポーティは幾度となく立ち返ろうとした。たとえその扉はすでに閉ざされていようとも。イノセント・ストーリーズ―そんな彼のこぼした宝石のような逸品六篇を、村上春樹が選り、心をこめて訳出しました。

内容(「MARC」データベースより)

少年や少女の無垢さ=イノセンスをテーマにして描かれた物語を収録。純粋で強く美しく、きわめて脆く傷つきやすく、また毒を含んで残酷なカポーティの6編の短編小説を、村上春樹が訳出。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 257ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2009/6/10)
  • ISBN-10: 4167705710
  • ISBN-13: 978-4167705718
  • 発売日: 2009/6/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (16件のカスタマーレビュー)
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待望の新訳 2002/11/16
By kh VINE™ メンバー
形式:単行本
 龍口直太郎のカポーティの翻訳は(龍口訳の時代がずいぶん続いた)文章がゆるくて、カポーティの原作とは違うような気がしてならなかった。現在は川本三郎訳のものが新潮文庫で手にはいるので、これを機に、この三者をならべて読んでみることにした。

 そして結論。今度の村上訳はすばらしい。翻訳のうまさもさることながら、なにより小説家として鍛えあげた文章のセンスがいい。煩雑になるが、一例をあげてみようか。

「誕生日の子どもたち」の語り手は、アメリカの田舎町に住む少年である。きのうの夕方、ミス・ボビットがバスに轢かれた、という文章で小説は始まる。少女は、ちょうど1年前、やはり同じ6時のバスで、母親とともにこの町にやってきた。映画でいえばここがファーストシーンだ。やせっぽちの10歳の女の子ながら、もう大人のコケットリーをもっている彼女は、母親をしたがえて、バスが巻き上げていった土埃のなかから姿をあらわす。遊んでいた少年や少女たちは、このミス・ボビットの風変わりなようすに度肝をぬかれて、言葉もなく見守っている。

 そのときの少女の歩くようすを、龍口は「のっそりのっそり」と訳し、川本は「気取った歩きかたで」と訳す。「つんとすまして」というのが村上訳。のっそりのっそりはないんじゃないかな、と思う。

 娘の後ろからやってくる母親について、龍口は「痩せ細って毛深い女」と訳し、川本もまた「やせた、毛深い女」と訳す。村上はこの部分を、「ぼさぼさ髪のやつれた女」と訳す。「毛深い」と「ぼさぼさ髪」では、どうです、ずいぶんイメージが違うでしょう。

 母親の表情についても、「この夫人は物静かな眼を持ち、空腹そうな微笑をたたえ」と龍口は訳し、川本は「おとなしそうな目をして、お腹をすかせたみたいな微笑を浮かべて」と訳す。空腹そうな微笑というものを、私は寡聞にして知らない。しかし村上訳の「押し黙った目、ひもじげな微笑み」の「ひもじげな微笑み」ならば、精神的な卑屈さの混じったうすっぺらな笑いとして、イメージすることができる。小説を読みすすめていけば、「おとなしそうな目」より「押し黙った目」のほうがこの小説にふさわしいことがわかってくる。

 翻訳は時代にも左右される。「無頭の鷹」のなかに、龍口が「詩を引用して見せる妖精のような黒人の少年」、川本が「詩を引用してみせる美しい黒人の少年」と訳している部分がある。村上春樹はここを「詩を引用する若いゲイの黒人」と訳す。fairy の意味が「妖精の」から「美しい」、そして「ゲイの」へと時代を反映してかわっていった。ニューヨークの夕刻、町にたむろする人物という設定、ましてやカポーティなのだから、ここはゲイという一語がやはり適切。

 村上春樹の言葉の選びかたは、こんなふうに、じつに注意深くて繊細だ。まあ、小うるさいことはこのあたりにして、あとはあなた自身で、この奇妙で物哀しい物語をじっくりとお楽しみ下さい。

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18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By emi
形式:単行本
 カポーティは私の好きな作家の一人ですが、バディーもの3作は特に、初めて読んだ際感じた、切なさ・儚さ・脆さ、といったものが読後ずっと尾を引いて、以来8年近く再読を避けていました(感傷的なものに心の中を支配されたくなかったのです。「おじいさんの思い出」は涙せずには読めませんでした)。改めて読み返してみると、意外にも先のような感情は湧いてきませんでした。それよりは、著者の生い立ちを思うと、自伝的な作品を描くことへの勇気(恐らく、簡単には触れられない部分であったのではないか)や、肉親やそれを取り巻く複雑な関係を浄化させ作品として描きあげる、著者の真摯な姿勢に打たれました。中でも「あるクリスマス」は、初めて読んだ時とは180度違う印象を受けました。大人よりも大人であり、より良い意味で寛容であり、柔軟性のあるこどもの視点で描かれている、爽やかな作品です。(以前の印象では、なんてどろどろとしているのだろう、「クリスマス」なんてタイトルだけではないか、と思ったものですが。)また、新たなカポーティの魅力を感じさせて下さった訳者には、感謝の意が絶えません。
このレビューは参考になりましたか?
14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カスタマー
形式:単行本
「ある意味で成長することの痛みを常に書き続けていた」カポーティの"イノセンス"をテーマに集められた短編集。心温まる『クリスマスの思い出』『おじいさんの思い出』などと、不吉な影の漂う表題作などの両方が集められ、これ一冊で作家カポーティが抱えていた心の二面性を見渡すことができます。村上春樹さんが高校時代に圧倒されたという『無頭の鷹』は、個人的に"村上訳"を待ち望んでいました!
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最近のカスタマーレビュー
無垢と残酷を真正面から描いている。
ふと村上春樹の訳文が読みたくなって、手にとった作品。
カポーティの作品としては、先に「ティファニーで休日を」を読んでいて、... 続きを読む
投稿日: 4か月前 投稿者: sagitta
優しく、愛おしく、そして哀しい物語の数々
カポーティの短編を村上春樹氏が訳した一冊。
過去に別の著名な翻訳家(龍口直太郎氏)が訳した作品も収められています。... 続きを読む
投稿日: 10か月前 投稿者: Nutrocker
子どもの頃は
絶対的な幸せも不幸せも無かった。
花にも星空にも夕焼けにも名前なんてなかった。... 続きを読む
投稿日: 2009/12/10 投稿者: capote
切なく辛い(からい)イノセンス
カポーティの作品は切なくからい。
彼の乾ききった物語は味わい尽くした後もボディブローのように効いてくる。... 続きを読む
投稿日: 2009/10/28 投稿者: 羊の水
乾いた物語が一層やるせない
乾いた物語で人の心を揺さぶるには、おかしみと乾きの中に
後からボディブローのように効いてくる切なさスパイスが要る。... 続きを読む
投稿日: 2009/10/28 投稿者: 羊の水
もしも村上春樹氏が、今よりも冷ややかな文体に挑んだなら・・・
正直、これまでカポーティを天才だと思ったことはなかった。しかし『無頭の鷹』ひとつで、彼は天才と呼ぶべき作家だったと知る。「あとがき」にて村上氏も指摘していることだ... 続きを読む
投稿日: 2009/4/15 投稿者: dindi
氷菓子
個人的にカポーティは一番好きな作家で、村上春樹にも思い入れがある、ということもあり
星6つつけたいくらいです。... 続きを読む
投稿日: 2009/2/18 投稿者: capote
味わったことのない感情の広がり
「無頭の鷹」を読み終わって、言葉もなく、ただ、臨終の床についた人に、人生すべての後悔を懺悔させているような気分を感じました。人間の感情には今まで自分で気づいていな... 続きを読む
投稿日: 2009/1/19 投稿者: clematis
傑作!
いい作品ばかりだった。「無頭の鷹」一編を除いて他の作品はすべて郷愁をさそう、子供の無垢な気持ちをそのまま結晶させたような作品ばかりだった。それらの作品たちはカポー... 続きを読む
投稿日: 2007/4/27 投稿者: ベック
一貫して透明な文章。イノセンスな短篇集。
カポーティといえば「冷血」や凝りにこった「遠い声、遠い部屋」など、天才的な感性で人間の内面を鋭く捉え、かつ美しい文章でその内面世界を書いていく天才作家というイメー... 続きを読む
投稿日: 2007/1/28 投稿者: らいらっく
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